2003年1月18日
原口一博国会通信(92) 世界の対話のために           DIGITAL SYOKASONJYUKU

 イラク問題と国連憲章・戦争の違法化

 「テロ組織に大量殺戮兵器が渡る危険性を国際社会が一体となって排除しなければならない。」「イラクが、国連決議1441に明確な違反が判明すれば、国連による新たな制裁措置や米国単独での武力行使も止むを得ない。」との主張の元、米軍はイラク攻撃の準備を着々と進めています。一方で、イラクの大量殺戮兵器に関する査察の期限を目前に控えて、このところ各国首脳の「査察」についての言及が増えてきました。「査察にはまだたくさんの時間が必要だ。」「期限にこだわる必要はない。」イギリスのブレア首相も「最後の手段行使」については微妙に発言を慎重姿勢に移しているように報じられています。


 国連憲章は、戦争の違法化を明言しており、たとえ自衛のための戦争であっても、これを厳しく制限しています。すなわち国連憲章第33条で紛争の平和的解決の義務をうたい、51条で自衛権の制限を明記しています。

いかなる紛争でもその継続が国際の平和及び安全の維持を危くする虞のあるものについては、その当事者は、まず第一に、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関又は地域的取極の利用その他の当事者が選ぶ平和的手段による解決を求めなければならない。」(第33条)

この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」(第51条)

 12年前の湾岸戦争の決断。その一つの引き金となったのは、「イラク兵が赤ちゃんまで殺戮している。」という少女の米議会での証言でした。しかし、これは後に「虚偽」であったことが判明しています。日本のテレビでも大きく報じられたイラクがパイプラインを破壊して深刻な環境破壊をおこしているとされた「油まみれの水鳥」も「作り話」でした。「国際世界」は情報操作により間違った判断をくだすという大きな反省を私たちは学んだはずです。
 先日、サンデー・プロジェクトでも議論をしましたが、「ラマダン・オフィス」(ラマダン・イラク副大統領の経済専権オフィス)に湾岸戦争後に通いつめたのは、「戦争の勝者」とされる人たちでなかったかと思います。どれほどの武器がこれまでこの戦争直後から地域に売り渡されてきたか。「中東・アジアの国民は、憎悪と分断の歴史を脱却すべきだ。紛争を好餌とする先進国の死の商人や、石油資源の主導権争いの犠牲となるのは許されない。」

イラクの相次ぐ国連決議違反を認めるわけにはいきませんが、国会通信(45)国連経済制裁で述べたように劣化ウラン弾の使用や長年にわたる経済制裁、文化破壊が政権の求心力を高めていることは事実です。力による北風政策だけでは、問題は解決しません。

  テロ支援の疑いが濃厚であるということで大国が先制攻撃権を濫用することは許されません。紛争を拡大するだけでなく、さらなるテロの温床を生み出す危険すらあります。

Henrry Ford Research Professor of Harvarad Universityのエズラ・ヴォーゲル先生とも「強い人間は寛容であること。そして粘り強いこと。」「米国知性の伝統について」議論をしました。

 「殴られて大きくなった子どもは力に頼ることをおぼえる。」「私達は人です。叩いてわかるのなら叩かなくてもわかる。」米国が単独でイラクに対して武力行使に踏み切ることが、回避されるように、あらゆる努力を重ねたいと思います。



 旧約聖書 ミカ書4章3節

主は多くの民の争いを裁き
はるか遠くまでも、強い国を戒められる
彼らは剣を打ち直して鋤とし
槍を打ち直して釜とする
国は国に向って剣を上げず
もはや戦うことを学ばない。
 


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