2003年5月28日
原口一博国会通信(98) DIGITAL SYOKASONJYUKU
日本・EU議員会議・国際政治・安全保障セクション
北朝鮮問題への対応について
日本・EU議員会議外交・安全保障セクションでイラク戦争後の安全保障の枠組み、北朝鮮問題などについて活発な議論を行いました。EU議員から「ノドンミサイルの問題は主として日本の脅威、テポドンミサイルの問題は米国の安全保障問題」「人道的食糧支援を厳格な追跡作業とともに北朝鮮に対して続けている」「米の単独行動的で一極的なふるまいに対しては、今後も国際間の枠組みを重視するように働きかける」などの発言がありました。
私が発言したのは以下のとおりです。
北朝鮮問題
議長ありがとうございます。昨年、EU議会での友好で前向きの実り多い議論とEUの友人の皆様の暖かいおもてなしにとても感激し感謝でいっぱいでございました。また2002日本・EU議員会議共同コミュニケにおいて初めて「拉致」の問題を提起していただき、この1年で大きな前進を見たことをこの場を借りて改めて御礼を申し上げます。
国際社会の理解と皆様のご尽力のおかげで、昨年9月の小泉総理訪朝により5人の拉致被害者が帰国を果たしましたが、いまだにその家族と離れ離れの状況が続いており、しかも二百名以上の拉致被害者の行方が知れません。拉致被害者は二十年以上も不当に拘留され、国家主権の侵害ともいうべき状況が継続しております。家族は高齢化し、一刻の猶予もなりません。当該国家の指導部が関与しないで、これほどの大規模で継続的な「工作」「テロ」は不可能であることは明白な事実です。北朝鮮が拉致をし、その後、死亡したと公表した被害者の皆さんについても、その後の調査でその信憑性に大きな疑問符がつきました。
私は北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟副幹事長として様々な機会でこの重大な人権侵害・主権侵害が国家によるテロであり人道に対する罪であることを主張して参りました。昨年のこの会議においても何故、そのようなことを国家が組織的に行うのか、理由がないではないか果たして事実なのかとの疑問が出されました。日本や韓国に対して工作を行うため大規模で周到な拉致が行われた事実は、北朝鮮が認めた厳然たる事実であります。しかも被害者が今なお特定されず原状回復もほど遠い現在進行形の国家犯罪であります。
現在、二国間、そして、ジュネーブの人権委員会強制的失踪に関する作業部会等での協議が行われていますが、北朝鮮は今回帰国した5人の被害者の問題で拉致問題は解決したという主張をしています。全ての人権は等しく守られるべきであり、何人も自身の意思に反して強制的に家族と離れ離れにされ連れ去れたりすることは許されません。
私は全ての人権を守るために「人を人でなくする力」と戦っている同志の皆様に訴えます。国際的なテロであり人権侵害である拉致を国際社会が法と正義に基づき、断罪し、原状回復とその償いを当事国に求めることを。そして今日の意義深い会議の共同声明において拉致をはじめとした人権侵害に私たちが毅然とした姿勢でのぞむ意思を明確に示すことを。
2002年7月には、米朝間高官レベル協議 韓国との縦断道路・鉄道の再建合意、 非武装地帯等から地雷の撤去、釜山アジア大会に600人をこえる代表団、主要産品価格の自由化、経済特区の導入、日朝高官協議などが行われました。同月、米中央情報局が北のHEU生産計画の存在を突き止めましたが、私たちはこの一連の動きを日米韓3カ国に対して同時に初めて前向きの姿勢を示したことを北朝鮮が宥和的に変化する兆しと歓迎いたしました。しかし日朝協議以降、再び2002年10月 高濃縮ウラン(HEU)生産計画に着手していることを公然と認め、12月 1994年の米朝枠組み合意によって凍結されてきた寧辺の核施設再稼動、同 31日 IAEA査察官を退去処分、2003年1月 NPT脱退、2003年4月には核保有を明言するなど瀬戸際外交を続けています。
このプルトニウム型核開発計画の再開は我が国を始めとした国際社会に差し迫った脅威です。5メガワットの原子炉が作り出していた8千本の使用済み核燃料を再処理すれば4、5発分の核兵器を持つこともできると専門家は見ています。核の問題だけでなく、朝銀による借名口座・架空口座、不正送金・飢餓と粛清・ミサイル輸出、麻薬密輸。脱北者や亡命者の証言は北朝鮮と国際社会がどう向き合うかを突きつけています。
テロとの戦いを続ける同盟国アメリカは、見えない敵、相互確証破壊の論理の通じないテロに対してミニマックス理論に基づき、考えられる最大の危機を最小化するために先制的自衛をドクトリンとして採用しました。これまで国際社会の中でイスラエルなど一部が自国の安全保障を説明するために使っていた先制的自衛は、専守防衛の考えとは相反し、国際社会では理解を得られてきたとはいえません。新たな決議なしでのイラクに対する武力行使をめぐって国連での議論が大きく分かれました。
しかし一方で、政府が民衆を保護する責任を果たさない、あるいは果たせない場合には、相手国の主権は制限されると見なす認識が提示されてきたのも見逃せません。「主権国家が国内での人道的悲劇を解決する意思と能力を持っていない場合、国際法と正義を無視して脅威を増幅している場合、国際社会はどのように対処すべきでしょうか。
「主権国家は国際法によってその領土内での排他的かつ完全な支配権、管轄権を持ち、他国は相手国の内政に干渉しない義務を負う」という主権の絶対性を定めたこれまでの原則だけでは、対処できない事態・集団・破綻国家が現出しています。生命、人権、尊厳に対する脅威から個人を保護し、国際社会のルールを貫徹するための新たな合意と枠組みが必要です。
「全ての民衆の基本的な権利と尊厳を擁護する」立場から人道的な保護を必要とする状況が現出することを阻止できない、あるいは封じ込められない場合、そして当該国家がそのような状況に対処する意思、あるいは能力を持っていない場合、対応能力の欠如、国家の破綻によって、大量の人命が失われている、あるいは予測される場合、強制追放、テロ行為、レイプなどを通じた大規模な民族浄化が実際におきている場合、国際社会が一致団結して人間の尊厳を守るための行動を起こすことが必要です。
私たちは、北朝鮮に対しても国際法と正義に基づく毅然とした姿勢を示し続けるとともに対話による平和的解決を目指すべきと考えています。北朝鮮の瀬戸際外交に報いることが対話ではありません。EUの皆様の理解と支援のもと、日米韓が連携して、中ロとも緊密な連携を図りながら、朝鮮半島全体の安全と安定を共同保障する枠組みづくりを行うことが必要です。そのためには、核開発放棄と拉致問題の解決は必要最小の条件です。「東京を火の海に変えてやる」との脅しやミサイル発射実験によって得られるものは何もないことを隣人が理解することが肝要です。
我が国をはじめ北東アジアには、世界の12の経済大国のうち3が集中しています。北東アジアのおける一刻も早い緊張の緩和は世界の繁栄と安定にも重要な事項です。 全ての平和を希求し、人権を保護するために活動する同志の皆様と思いをあわせ行動をともにしていく連帯を誓い私の報告といたします。たくさんの祝福がありますように。
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