2003年6月10日
原口一博国会通信(101) DIGITAL SYOKASONJYUKU
行政訴訟法改正とオーフス条約
市民公益のための司法改革
公益の担い手は官だけではありません。政官業の癒着にメスを入れ、税金の無駄使い・環境の破壊等をしっかりとチェックするためには、市民公益という概念をさらに進めて公益の担い手を「自由化」する必要があります。市民自らが主体となって公益を実現する潮流を着実なものとするためには、立法府における行政監視機能を充実させるだけでなく、公益を独占(寡占)している行政に対する司法からのチェックを効かせる事が必要です。
諫早湾干拓事業など、環境破壊のおそれから中止を求めて市民が工事の差し止め訴訟を提起してきました。しかし、第3者委員会の報告を尊重すると言いながら実際の工事は進んでいます。国民が司法の場を通して行政の姿勢を変えようとしても行政訴訟法上の問題点が山積していて、官にやさしく民に冷たい制度の壁は乗り越えられません。
実際に行政訴訟の現状を見ると
@訴えるにはもう遅いですよ(出訴期間の徒過)
Aところで被告を間違っていますよ(被告選択の負担・教示)
B裁判は東京でどうぞ(管轄)
Cその行政の行為は争えませんよ(訴訟対象―処分性)
Dあなたに訴える資格はありません(原告適格性)
E訴訟提起が早すぎますよ(成熟性なし−処分性)
F訴訟提起をしても行政活動は止められません(執行不停止原則)
G訴訟提起が遅すぎます(違法ですが完成しました)(狭義の訴えの利益の喪失)
H民事訴訟は駄目ですよ(行政訴訟も無理でしょうが)(公定力)
Iそれは行政裁量の範囲ですよ(行政裁量の壁)
提訴件数も年間1000件から1800件にとどまっており、諸外国に比べても異様なくらいの少なさです。「お上に逆らうな」という官尊民卑の風土の名残からか、国民は最初から「やっても無駄だから」と諦めてしまっているような状況ではないかと思います。
「行政庁の優越的地位と抗告訴訟制度の機能不全が官の肥大化を増長させている」との専門家もいます。司法の行政に対するチェック機能強化するためには、諸外国では認められているのに日本には無い、NGOの原告適格性を含めた法改正が必要です。
環境訴訟・消費者訴訟など利益が広く薄く、個人としては原告適格になりにくいけれども、重要で関心の高い事項については一定のNGOに原告適格性を付与すべきだと考えます。民間公益活動を行う団体は、司法過程においてもしっかりとした位置付けをするべきであり、市民訴訟条項の整備にむけた作業を進めて行きたいと思います。
アメリカの環境訴訟・消費者法にも、企業が行政法に反している事実がある場合、直接市民が違反企業に差し止めを求め、民事制裁金を求めることができる、との条項が明記されています。行政ソースの補完という考えから原告適格が緩和されており、市民が法を執行していく考えが徹底しています。『公益擁護であるのでそれにかかわる手当ては市民に負担させない』・『客観訴訟としての権利侵害を前提とせずに、違法があれば市民が訴訟をおこして公益をまもることができる』との考えです。司法審査が潜在的に存在することで、違法な行政作用に対する抑止力にもなります。
「環境問題はあらゆるレベルで市民が参加することで解決される」との原則をもとに国連欧州経済委員会で以下の3項目が採択されました。
@環境に関する情報へのアクセス権
A意思決定における市民参画
B環境問題に関する司法へのアクセス権についての国際的な最低基準を設けるいわ
ゆるオーフス条約です。
オーフス条約の3つの柱のうち、司法へのアクセスについては、行政訴訟法一つとってみても日本の実情は大きく遅れを取っています。環境保全に取り組むNGOなどの団体が訴訟を起こせるようにする「団体訴訟」制度の導入・個人でも公益のための訴訟を起こせるようにする「市民訴訟」制度の導入に向けての検討を開始いたしました。様々なNGOの皆様とのネットワークを通して市民公益の基盤を築いて行きたいと思います。
民主党市民政策議員懇談会で越智敏裕さん(日弁連弁護士)、 中下裕子さん(オーフス条約を日本で実現するNGOネットワーク/弁護士)のお話をお聞きし、方向性を確認しました。
「オーフス条約を日本で実現するNGOネットワーク」
http://www.kokumin-kaigi.org/action/action_p.cgi?action=html2&key=20
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