2003年1月10日
原口一博国会通信(116)                    DIGITAL SYOKASONJYUKU

                「民権革命による日本再生−官製経済の打破」 
                  「次の内閣」予算編成についての論点メモ
 
                                       「次の内閣」規制改革担当大臣
                                                 原 口 一 博

  来年度政府予算に対する民主党の対案として、これまで行ってきた予算総額・ 歳入歳出総額を政府案と同様にしてよいのかという問題提起を行いました。財政 は発散しており、巨額の財政赤字は、日本の社会・経済全体の足を引っ張ってい ます。この事態を放置することは、納税者の視点からも許容できません。

  この問題提起に対して、財政出動によりデフレギャップを埋める立場から反論 がなされ、これまでどおり、規模は政府案と同じにして歳出の内容を変えるべき という論が述べられました。結果、「次の内閣」財務大臣、経済財政担当大臣に あずけられることとなりました。なお後日、この2大臣より、規制改革担当の私 に対して経済再生の目玉となるような規制改革の案件を提示するようにとの要請 がありました。以下は、その要請を受けて現時点での考えをまとめた規制改革座 長論点メモです。茨城1区の福島総支部長の協力をいただいて作成しました。


 (現状認識)
  現在の日本経済の低迷は、自民党により形成された官製経済の行き詰まりによるものである。FTAなど世界の自由貿易に遅れを取るだけでなく、国内市場にあっては、不透明な官製ルールを嫌気し、海外投資も低く抑えられたままだ。長年にわたる超低金利政策は、金融による際限なきばら撒きと同義で、供給構造改革はおざなりにされたままである。デフレ脱却の鍵ともいうべきサービス分野の規制改革も政官業の厚い壁に阻まれて足踏みを続けている。

1.これまでの規制改革政策の限界
・規制改革の目的を狭義の経済的効果(市場規模○○円のような)に求めてきた。
→特に社会的規制の分野で「規制改革で米国流の弱肉強食の競争社会になる」とか「社会福祉を企業の食い物にするな」などの反論を生み、規制改革が進められなかった。

・規制の数をとりあげてそれを減らそうとしてきた。
→「無駄な規制はなくすが自分たちの規制は無駄ではない」という「総論賛成・各論反対」が積み重ねられた。

・規制改革を推進する組織に強力な権限がなかった。
→総合規制改革会議は、総理の諮問機関(意見を具申するだけ)にすぎず、抵抗する各省庁に対して公開討論などの方法を除いて規制改革を推進させる強制力がなかった。また、規制改革担当の特命大臣も、内閣法上の勧告権は「伝家の宝刀」であるとして、それを行使してこなかった。

→民間人のみの審議会の審議は、「特定の利益と結びついているのでは」との批判を生むとともに、実際の法令等の作成過程において官僚の独占を許し「骨抜き」や「やったふり」が横行した。


2.規制改革の新しい視点
・「規制」を、「行政が弱者を保護したり、国民の安全を担保するための公権力の行使」ととらえるのではなく、「社会的・経済的公正を極大化するための行政サービスとしてのルール」としてとらえる。

・したがって、単なる法令の条項や提出書類の様式にとどまらず、行政の執行体制、「官と民の関係」そのものが検討の対象となる。

・また、「規制は公正中立な行政が作り、執行する。民間は、それに従わなければならない」という共同幻想から脱し、ルールの作成自体は民間も関与しながら政治の正当性を得て行い、そのルールの執行はこれまで以上に厳格な倫理性、中立性、透明性を持った行政が行うことを原則とする。(ルール作成を官僚が独占すること、ルールの執行を不透明な裁量で行うことが、規制が既得権益を生む政官業癒着の自民党的政治の根源であった。)

・したがって、制度(ルール)の競争が、「グローバリズム」時代の国際競争の本質であることも踏まえ、多様な主体がルールの作成・改廃に関与できるようにし、国内でのよりよきルールの作成競争を生むような環境を作り上げる。


3.規制改革の実施体制
・内閣に「行政サービス改善・民権回復本部」を設置し、特命担当大臣を置く。任命に当たって総理は、特命担当大臣に対して、必要に応じて各省庁に勧告権を発動すべきことを明確に指示するとともに、総理の代理人(総理の政治的判断の一部を委ねる)として各大臣と調整できること、規制改革に抵抗する局長以上の官僚の更迭を総理に具申できることを明確にする。本部のメンバーは、総理、官房長官、特命担当大臣、経済財政政策担当大臣、行政改革担当大臣、少数(3〜5人)の民間人。 (政府の全閣僚をメンバーとする「規制改革推進本部」案(重いだけで、実質的な議論ができない本部では、官僚の思い通り)に対するアンチテーゼ)

・事務局として、内閣官房に行政サービス改善・民間回復推進室を設置し、室長として特命担当大臣を補佐する総理補佐官を民間人又は官僚からの公募により登用する。

・事務局員は、各省庁からの公募による官僚を半数、企業、公認会計士、弁護士等の民間人を半数で構成する。


4.具体的政策
以下を内容とする基本法を直ちに制定し、3.の本部を推進母体として、それぞれの具体的な政策を強力に実行する。

(1)「業法」の全廃による官製市場の開放と行為規制の強化
・事業の許認可は、「役所に認められなければ事業ができない、役所に気に入らないことをやれば事業ができなくなる」という官製市場の社会主義的国家の現れであり、官僚と既得権益にしがみつく政治家の権力の根源となっているため全廃し、安全の確保や公正な取引の確保のための行為規制を強化する。したがって、学校法人、医療法人、社会福祉法人といった個別法に基づく「法人」も全廃される。

・規制の新設、改廃については、各省庁が原案を作成して、本部において決定するものとし、行為規制の執行については、経済的規制については、金融、電気通信、電力・ガスなども含めて公正な取引をチェックする拡大「公正取引委員会」で、安全規制については、原子力、医薬、食品、産業保安、消防なども含めて国民の安全について技術的なチェックを行う「国民安全委員会」で行う。それぞれの委員会には、高度な学識を持った専門家を、既存の事務官・技官、キャリア・ノンキャリアと違った採用・人事形態によって雇用し、政治からの独立、完全な身分保障を与えるとともに、情報公開の徹底、公務員倫理法の厳格な適用を行う。

(2)「ノー・アクション・レター」の法制化,ADRの充実
・上記2委員会が法令に基づく権限を執行する前に、事業者等が法令の運用について文書で明確化することを求める「ノー・アクション・レター」制度を法制化し、一定期間内の文書での委員会からの回答を法律で義務付ける。

・上記2委員会が法令に基づく権限を行使したことに対して不服を持つ事業者等が、行政訴訟を起こす前に、不服審査請求を行うことができる組織を内閣府に設置する。当該組織は、不服審査請求を求められた場合、ただちに事実関係を調査し、必要に応じて当該権限行使の取り消し・変更等の勧告等を行う。

(3)通達等による上乗せ規制の禁止
・法律及び法律に基づいて定められる政省令以外のいかなる通達の発出等の行政上の行為も、民間の自由な行動を制限するものではないことを法律で明確化する。

・不当な行政指導等があった場合には、3.の本部に苦情申立てができ、そのために行政による不利な取扱いや不当な差別がされないことを法律上担保する。

(4)行政サービス改善要望の受付
・現在の規制改革集中受付月間のように、本部は幅広く民間から規制の改廃・新設、行政サービスの改善を求め、各省庁にその実施を検討させる制度を法律上明確にし、行政に特区による先行実施も含めた実現の可否、実現しない場合の理由の明示を義務付ける。

・実施することになった規制改革事項については、法令等の条文段階で骨抜きとならないよう、本部のリーガルスタッフがチェックする体制を整備する。

(5)正当な「ロビー」業務の容認
・上記(4)の規制の改廃・新設を求める事業者等をサポートする事業、政と官との橋渡しをする機能としての「ロビイング」が透明で適正に行えるようなルールを整備する。(これまでの政治資金等が絡んだブローカーから、正当な業へ。)

(6)規制のコストの明示
・行政に提出する書類等については、すべて標準記入時間を明記させ、国民が規制のコストを把握できるようにする。また受理した書類に対する行政側の回答予定期限を明示することを義務付ける。

・行政は、書類に記載が必要な事項について、なぜ必要なのかを文書等により示さなければならない。

(7)各論での戦い
・1円からの完全競争入札
・ ファミリー企業の解体
・ 旧来型政党支持母体に代わる選択肢の提示
・ 民主党支持首長自治体における規制特区の推進

        DIGITAL松下村塾〜原口一博国会通信 メールマガジン登録