2004年2月2日
原口一博国会通信(120) DIGITAL SYOKASONJYUKU
N.Y.連銀総裁 ティモシー・ガイトナー氏と米国経済と世界経済のゆくえ
米国財務省でティモシー・ガイトナー氏と初めてお会いしたのは6年前です。サマーズ長官との最強コンビで力強く世界経済をリードしておられた姿はまさに向かうところ敵なしという言葉がぴったりでした。36歳の若さは、彼の能力を全開させる上でなんの障害にもなりません。当時38歳だった私は、氏にとても大きな刺激を受け、世界を動かすもののダイナミズムを肌で感じることができました。新しい民主党が結党して10日も経たないうちの訪米でした。
第23回日米議員交流プログラムで再渡米した時に「寄らば、切る」という殺気のような鋭さは姿を消して大河のようなおおらかさがとても印象的でした。現ブッシュ政権がまだ誕生して間もない頃で同時多発テロの半年前。安全保障分野では、拡散するWMD、見えない脅威にどう立ち向かうか真剣な議論をしている時でした。
2004年1月15日、再び山本忠氏のお導きで氏にお会いしました。ワシントンのテクノクラートとしても異例中の異例というN.Y.連銀総裁就任です。N.Y.連銀の重々しさがなんとなく仕立ての大きめなお譲りの背広のように感じます。時代を創る若き総裁の放つ光がまばゆいほどです。あわせるべきは、ガイトナー氏のほうではなく、連銀も含めた世界の方だと思えてくるのがなんとも不思議です。山本氏がガイトナー氏のお父様と厚い親交があったればこそ実現した会談です。大きな示唆を得ました。
自由と繁栄のために何をすればいいのか話し合いました。
会談は非公開ですので内容を記すことはできません。エコノミストや政策責任者、企業経営者、ワシントンの国会議員などとの議論の中で討議した中から、記しておくべきと思われる点を記しておきます。
(米国経済の現状と見通し)
米経済の景気拡大の強さについておおむね「満足」。
株価 、IT分野の崩壊がどのように回復していくか
生産性も好調、投資も増加。生産性はとても重要 マクロファンダメンタルはプラス。
来年、どうなるかを聞くとほとんど全員が楽観的、長期的なインフレについてそう高くはならないという予想で金融制度も柔軟性を持っている。
(注視すべき材料)
財政的な立場が悪くなっている。財政政策がこれからどうなっていくかがわからない。
(政権は全ての政策資源を大統領選挙に注ぎこんでおり、大規模減税も。)
経常赤字膨大なもの。マクロ調整がどうなるか注視が必要。
アメリカ国外の成長がどうなるか。日本・欧州の成長が低め。
中核的バランスは為替レートによる調整によって行われるべきだが。
エコノミストの中には、対外的なアメリカの立場は持続的ではないとする者も。
為替レートでドルが安くなるという調整が行われるべきとの主張も日本がどれだけ円高を許容できるかということと関連。
中国で何がおこるかわからない。
(中国の元安)
長期的には柔軟的な形にすることが望ましいが、それをどのようにやるかが問題。
外部のものには難しい。長期的には、彼らもそのようにした方が益になると考えるだろうがどのような体制を考えるかが問題。
(ジョブレス・リカバリーについて)
経済学者には、生産性が高くなって雇用が伸びないと信頼度が減じてしまうという者も。
インフレが低下、マイナスの生産性のギャップが吸収できなければ問題。
全体的な所得増につながるか。生産性の向上は良いこと。最終的には世界各国に広がる。
(景気刺激効果の持続性について)
財政刺激によって景気回復が起こっている。金利の水準も低い。この政策的インセンテイブによって、いつまで続くのか。リファイシングの効果も限られている。
持続的な状態が続いて成長期に入ってきたとの見方も。
金融セクターが変化に対応できるということが重要。マーケットは、金融政策の変更に調整している。一般消費者、企業もコンフィデンスが高い
益々オープンになっていく世界市場に心配はあっても、どうすればいいのか、どういう政策を立てていけば、意味をなすのかを論じることが必要です。政治は「マクロの安定的枠組みをつくること以外に何ができるのか。」との問いに答えなければなりません。
日本についていえば、投資魅力、新規の企業を起こさせることに必要な条件を引き出す政策がより求められると思いました。
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