2004年9月1日
原口一博国会通信(136) DIGITAL SYOKASONJYUKU
北朝鮮による日本人拉致事件への対応について
私たちが失ったものの正体
北朝鮮による拉致事件は、首相訪朝から2年がたとうとしているものの10人の未帰還者の安否も含めて解決の見通しはたっていません。
拉致はテロであり許されざる国家犯罪です。しかし、この重大な人権侵害、国家主権侵害に対する日本政府の姿勢は、多くの疑問符がつきます。国交正常化ありきで、国家主権と人権・拉致被害者家族の心情を無視した交渉をすることは絶対に許されるものではありません。
そもそも一体何人の日本人が拉致をされたのか。そして誰の主導で行われたのか。この基本的なことすら明らかにされていません。北朝鮮は、一部の機関が独断で拉致を行ったといいますが、そもそもそんなことが許される体制でしょうか。
9・11のテロを許した米国は、何故テロを防ぐことができなかったか全力をあげて解明をしています。調査があり、追求があり、議論があり、総括があります。我が国では、長期政権の中、責任追及の声さえ上がりません。海からの工作員だけで、どうして拉致が成功するでしょうか。国内で協力したものがいなければありえないことではないでしょうか。「敵は政治の内側」にいたのではないでしょうか。それらは、なんの追求を受けることなく歴史の闇に逃げ込もうとしているではないでしょうか。厳しい総括のない国は、同じ過ちを繰り返します。
北東アジアには、世界の12の経済大国のうち3つが集中します。アジアの冷戦の終結は、我が国の国益に合致します。朝鮮有事のもたらす惨禍を考えるまでもなく、平和的解決こそが唯一最善の道です。しかし、それは原則を外し、妥協を際限なく繰り返すことではありません。国民を守れない政府はいりません。
6ヶ国協議の中で米国は、北朝鮮の「悪事」に報いることのないように配慮しつつ、平壌が切望する安全保障上の確約を如何に与えるか腐心してきました。しかるに我が国は日朝平壌宣言で合意した人道援助を第二次小泉訪朝で前倒してみせました。WFP(世界食糧計画)が今年よびかけた北朝鮮への食糧支援は41万トンです。日本の人道食糧支援25万トンの説明を聞いていません。北朝鮮経済制裁カードもあっさり放棄してきたことに怒りを禁じえなません。
問題は、これらの決定が組織的・戦略的な基盤の上になされたのではないことです。外交における意思決定は、世紀をまたいで国家の行動を制約します。文書が開示される30年後に悔いてみても遅すぎます。これほどの主権侵害が、国連安保理で論じられず、ジュネーブの人権委員会でも、日本政府は何故あのような姿勢しかとれないのでしょうか。
私たちが「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」を立ち上げた時点ですら、日本政府そのものが拉致を認めず、事勿れ外交を続けていたことをもう一度肝に銘じて行動すべきだと考えます。
国際法と国民の人権を無視して国家が成り立つ道理はありません。未だに特定失踪者問題を一元的に解明する政府の機関はありません。特定失踪者の家族の皆さんが国民の善意に支えられて活動を続けておられます。政府が認定していない拉致被害者を示され後手を引く愚をいつまで続けるつもりでしょうか。
6月22日尖閣列島を海上保安庁の哨戒機で視察しました。魚釣島のヘリポートは台風で使用不可となったままです。職務を懸命に果たそうとする現場に対して政治の姿勢はあまりにも弱すぎます。戦後、私たちが失ったものの正体がそこにあります。
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