2004年9月6日
原口一博国会通信(138) DIGITAL SYOKASONJYUKU
フロンティアと哲学
松下政経塾25周年記念式典 松井社長に師を見る
松下政経塾25周年記念式典で松井証券の松井社長がお話しくださいました。パネルディスカッションの形式をとっていますが、「最先端をいく実業人」の言葉に今後の進路が明確に示されていたと思います。松井社長のお言葉を会議録から拾うのではなく、私がこのように聞いたという言葉を以下に記してみたいと思います。
「今、総理になって一つ目指すとすれば何を目指すかという問いですが、私は「競争」という言葉に触れてみたいと思います。」
「日本経済はトンネルから抜けたという人がいますが本当でしょうか。私は、トンネルそのものに入っていないのではないかと思います。そのトンネルは競争というトンネルで、私たち日本では、そこに入ることそのものを避けてきました。山を迂回する方法もあるのではないかという人がいるかもしれませんが、その迂回路は間違いなく谷底に通じている迂回路です。」
「日本では、敗者を弱者と混同して議論されているのではないでしょうか。「弱者」を出さないために皆で競争を止めようということが許されてきたような気がしてなりません。競争というトンネルにそもそも入ってもいないものを抜けたと言ってみても何の意味もありません。」
「金融でいえば、不良債権処理という問題さえ(金融界が抱えている問題の総体を考えると)小さな問題に見えます。大きな銀行が「誕生していますが」例えてみれば、KONISHIKIさんの3倍もある図体の力士のようです。大きいので強いかと思えば全く違う。少し足をかけられただけでひっくり返ってしまいます。かつては大相撲放送の5時半くらいに相撲をとっていた力士が、今では髷も結えずに3時前に相撲をとっている。このような状態が日本の銀行界の現状ではないでしょうか。」
「政治家にはノウハウではなく、哲学を語ってほしい。時代がどう変わるのか。社会をどう変えるのか。社会観や歴史観を語って欲しい。大きなパラダイムの変化と言いますが、それは何かを伝えて欲しいと私は思います。」
松井社長に師・松下幸之助氏の姿を見ます。それは時代を創る視座であり、哲学です。
一党独裁と官僚社会主義、官業経済は、日本の良さや強さを壊してきました。欺瞞の中の停滞、腐った悪平等主義を排して、自由と人間の尊厳を勝ち取らなければなりません。
「月額売り上げが1000億円を超える」こともお話しになっていました。世界は、急激なグローバル化、情報化から人間を守る新しい仕組みを模索しています。私が国連で話したように「世界でグロ−バルな競争が激化しています。ルールにおける競争が競争の本質になりつつあります。バーチャルな世界で流れる貨幣は実体経済の何十倍にも膨れ上がっています。この乖離が進めば進むほど、貧富の差が拡大し、摩擦が増大します。私たちはミハエル・エンデが指摘したように「貨幣を腐らせる(レデュースさせる)」知恵を必要としています。」
私が悩ましいのは、国内において「競争」を根本から勝ち取る一方で、「世界標準としての競争の弊害除去システム」を構築していかなければならないということです。欧米が、ブッシュ改革やサッチャー改革を経て、その経験から新しい道を模索している時に、私たちは旧時代の遺物との戦いにさえ勝利していません。
民族や宗教、国家という従来の組織形態が持っていた意味合いが、ある意味で解体・或いは変質して「人間そのものの安全保障」が議論されているときに、私たちは国家や政府、国益の再定義から議論し直しています。
「大きな政府」「小さな政府」論が供給側の形態にのみ矮小化して議論されているために本質が忘れさられています。人間の尊厳と自由、すなわち人権の立場から政府の役割を再定義することがなされていないために、主権者が置き去りにされています。
世界のあるべき姿を見すえた上で、私たち日本のめざすべき社会像を提示しなければなりません。様々な戦略も前提となる哲学を語らなければ説得力を持ちません。
これからも松井社長のご発言を注目していきたいと思います。新しいフィロンティアと哲学を探求する決意を新たにしました。
松下政経塾 塾是
真に国家と国民を愛し
新しい人間観に基づく
政治経営の理念を探求し
人類の繁栄幸福と
世界の平和に貢献しよう
塾訓
素直な心で衆知を集め
自修自得で事の本質を究め
日々新たな生成発展の
道を求めよう
5誓
素志貫徹の事
常に志を抱きつつ懸命に為すべきを為すならば、いかなる困難に出会うとも道は必ず開けてくる。成功の要諦は、成功するまで続けるところにある。
■ DIGITAL松下村塾〜原口一博国会通信 メールマガジン登録
|