2004年9月19日
原口一博国会通信(141) DIGITAL SYOKASONJYUKU
子ども国会への報告
全ての子どもたちに教育を
「世界中の子どもに教育を−2004年 子ども国会」に全国から参加された皆さん、こんにちは。民主党衆議院議員「次の内閣」子ども政策担当の原口一博です。私たちも「子ども国会」に参加させていただいて本当にありがとうございます。理想を語り合う澄んだ瞳に大きな勇気をいただきました。とても熱心で前向きな議論の結果、いただいた意見書もとても大切にしています。代表の皆さんに「子ども国会」終了後、国会にも来ていただいて、直接、私たちの「次の内閣」で意見書を発表していただきました。重ねてお礼を申し上げます。
私は、民主党『次の内閣』子ども政策担当大臣として、子ども国会の場で次の3つのことをお約束しました。それは、次の3つの約束でした。
1 子ども国会で採択された意見書を民主党の政策調査会で正式に取り上げ、その実現にむけて全力で努力する。
2 子ども国会での議論を踏まえ、国会の委員会審議や立法過程の中で取り上げ、そ
の実現にむけて全力で努力する。
3 各種の国際会議で「子どもが教育を受ける権利の実現」を訴え、全ての子どもが
教育を受けることができるように全力で努力する。
そして半年後を目処に皆さんに中間報告をすることもお約束しました。これは、その中間報告の一部です。
「わたしたちは、人種・宗教・性・言語・財産・地位・障害の有無に関係なく質のよい教育を受ける権利をもっています。そして、どのような例外もなく差別されません。また、どのような場所でも平等で、自らの可能性に挑戦する自由を持っています。」
この言葉とおり全ての子どもたちに教育を受ける権利を保障するために現状はどうか、そして目指すべき政策の理想は何かを私たちも民主党子ども政策調査会で議論を重ね、法案作成や予算、条約に反映させようとしました。そこで最も重視したのは「子どもたち自身の声」です。子どもたち自身が自らの権利について学び、考え、そして権利を守るために行動することがとても大切だと考えています。皆さんから直接手渡された意見書は、民主党「次の内閣」で正式な議題として取り上げ、子ども政策調査会を中心に検討を重ねてきました。
ニュースや民主党ホームページでも大きく取り上げられました。
http://www.dpj.or.jp/news/200404/20040428_09kodomo.html(2004年04月28日)
以下、意見書の項目にそって私たちの活動と成果を中間報告いたします。
<世界中の教育を受けられない子どもたちについて>
「軍事関係よりも子どもの教育や命についての問題を優先してほしい。」など7項目の日本政府への提言をいただきました。この中には、世界中の子どもたちが教育を受けられるための支援のあり方についての提言もありました。
ODAのあり方についても民主党は抜本的な見直しを提言しています。「貧困と飢餓の半減」「初等教育の完全普及」など国連ミレニアム開発目標を達成するため、ODA予算の配分を重点化する平成16年度民主党予算案を提出しました。来年度予算案にもこの理念を積極的に反映していきたいと考えます。
http://www.dpj.or.jp/seisaku/kan0312/zaimu/04yosan/6_3_2.html
(平成16年度民主党予算案)
子どもの権利を保障する上でNGOの果たす役割はとても大きいものがあります。全ての人の利益、つまり公益は何も官が独占するものではありません。NGO・NPOが担う公益、すなわち市民公益を民主党はとても大切にしています。NGO・NPOへのサポート強化を提言しています。NPO局と民主党政策議員懇談会などでNPOのヒアリングを行い提言をまとめました。NPOと政府の協働をテーマにシンポジウム開催しています。この6月には10回のNPOからのヒアリングをもとに「市民から見たマニュフェスト」フォーラムも開催いたしました。
http://www.dpj.or.jp/news/200406/20040604_08forum.html
またイラクやアフガニスタンの子どもたちなど紛争地域の子どもたちの現状をヒアリングして、国会質疑でも子どもたちへの支援を訴えました。特に劣化ウラン弾や対人地雷のもたらす被害は甚大で多くの子どもたちが犠牲になっている悲惨な現状を変えることを主張しました。
http://www.dpj.or.jp/news/200211/20021125_04iraq.html
民主党は、ODAを紛争予防・人道・人間の安全保障といった外交政策の新たな柱として位置づけ、基本法の制定をも検討しつつ、内容と執行方法を抜本的に改革することが必要と考えます。
情報公開や事業評価を徹底させ、透明性・効率性を確保し、インフラやハコモノ等ハード重視型から、教育・人材育成や技術支援、医療・福祉、保健衛生、環境といった人や生活、ソフト面重視型とし、NGOとの連携をさらに強化します。また、包括的・効率的、そして戦略的視点にたった援助が実施できるよう国際開発庁(仮称)の設置について、検討していきたいと考えています。
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2004年8月に開催された「国連障害者の権利条約」第4回特別委員会にも議員を派遣し、積極的な発言を行いました。障害(障がい)を理由に教育を受けられない世界の子どもたちの権利をどうすれば守ることができるのか。差別とは何か。どのような障害者の権利条約を作ればよいかを議論しました。
障害者の権利は、全ての人に生まれながらにして備わっている自然権的な権利です。障害者は保護の対象ではなく権利の主体です。障害者本人中心の地域での自立生活を可能にならしめる諸権利と、その諸権利に基づく権利保障システムの総体を導き出すものが私たちの政策の到達点であるべきだと考えます。
「障害はすべての人に起こりうる」「障害は障害者その人に属するのではなく、障害者と環境の間にある」「障害は環境因子によって大きく左右される」という観点から教育を受ける権利、そして教育を選択する権利を保障することが必要です。障害があるからという理由で子どもたちが「施設」での教育しか選択できないことは権利の侵害だと考えます。住まう地域において統合された環境の中で教育を自ら選択する自由が保障されるべきです。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/shogaisha.html
「国連障害者の権利条約」特別委員会議事内容(外務省)
http://www.haraguti.com/news/index_n.html
「国連障害者の権利条約」特別委員会サイドイベント発表文
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<日本の教育を受けられない子どもたちについて>
子ども国会の意見書では、「教育を受けられない、子どもたちに対して実態を把握し、適切な教育を提供して欲しい。」など5項目が日本政府に要請されていました。今年、大阪府岸和田市で深刻な児童虐待事件が明るみにでました。義務教育において一ヶ月以上登校しない、あるいはできない子どもは13万人を超えています。この中には、岸和田の例のように保護者からの虐待・暴力などがあって登校できないのに、社会のどこからも手が差し伸べられない子どもたちもいるのではないかと思います。私たちも、子どもたちの実態把握を強く政府に要請しました。
また第159通常国会で児童虐待防止法改正案をまとめて成立させることに成功しました。
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(1)児童虐待の定義拡大(保護者以外の同居人も対象、子どもの前でのドメスティック・バイオレンスなど間接的被害も虐待に含む)、(2)国及び地方公共団体の責務明確化、(3)児童虐待を受けたと思われる児童を通告義務の対象とする、(4)児童の安全確認・一時保護の際の警察署長に対する援助要請、などの法改正を全会一致で行いました。民主党は、今後も児童虐待防止対策の充実に取り組んでいきます。
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児童の権利を著しく侵害する児童ポルノ・児童買春に対して「児童買春・児童ポルノ行為処罰法改正」を行い罰則強化、被害児童の救済の徹底を図りました。 |
障害者基本法改正案にも取組ました。議員立法で成立した障害者基本法ですが、今回も議員立法で改正をめざしました。民主党と与党で最も意見が分かれたのが「障害者の教育の権利」のところでした。私たち民主党は、施設中心の交流教育ではなく、障害者が地域において統合された教育環境(インクルーシブな教育環境)を保障され、教育を選択する権利があるとの主張を展開しました。国連でも同様の主張をしてきましたが、子どもたちが自らの意思を教育に反映させることができるという当たり前の権利さえ、いまだに保障されていません。条文上は、「交流または共同学習」という文言で落ち着きましたが、全ての差別を排除するためには、インクルーシブ教育を勝ち取ることが必要だと考えています。
フリー・スクール、チャーター・スクールを目指すNPOの皆さんとも意見交換をしました。3番目の<日本の教育の質>についての子ども国会意見書にも関連するのですが、日本の教育の中の自由度は高いとは言えません。教育の供給側の論理が文部科学省を頂点とする官僚組織によって全国一律で貫徹しています。学校を選ぶ自由、教師を選ぶ自由、カリキュラムを選ぶ自由など教育の受け手からみた教育の改革が必要です。
日本の教育制度そのものを「子どもたちの自由と尊厳」という理想から根本改革していきたいと私たちは考えています。教育改革というテーマを新たに設けて議論を詰めています。
「日本にいる外国人の中には学校に通えない子どもたちがいる。」との指摘もありました。社会的・経済的・文化的、いかなる理由であっても子どもたちの教育を受ける権利を保障しなければなりません。実態を聞き取りしていくうちに、とても深刻な状況が明らかになってきました。それは人身売買の実態です。日本は人身売買の主要受け入れ国の一つです。ところが、加害者の取締についても、被害者支援や人身売買防止策についても、ほとんど何の対策もとられていません。近年、国際社会において人身売買の問題が大きくクローズアップされていますが、日本ではまだ深刻な問題であるという認識すらなく人身売買禁止のための対策、特に法制度の必要性が理解されていません。ここでも多くの子どもたちが被害者になっている可能性があります。
私達は次期国会での人身売買禁止法制定にむけて協議を進めています。
<日本の教育の質について>
子ども国会からいただいた意見書では<理想>として
「全ての子どもの個性が、尊重される学校。共に学び、助け合う学校。子ども、保護者、地域にとって開かれた学校。教師と生徒、一人一人が向き合い、心が通い合う関係を持てる学校。受身の授業ではなく、参加型、体験型の授業。誰もが積極的に発言でき、意欲が高まる学校。入学式、卒業式に歌う歌を、生徒が決めることができる学校。学力と同時に、心の豊かさや人への思いやりを身につけられる学校。生徒同士で話し合う時間が多くある学校。様々な文化や伝統について学べる学校。自分の関心があるテーマについて徹底的に学ぶ時間がある学校。いろいろな国の人と話せる、機会と場所がある学校。生徒のプライバシーが守られる学校。平和や環境の項目のある学校。強制されるのではなく、子どもの自主性、創造性を尊重する学校。先生を選ぶことのできる学校。人権について授業がある学校。地域、家庭とつながりがある学校。」を示していただきました。
このような理想を実現するためには、現在の教育予算ではとても足りませんし、教育そのものを抜本改革する必要があります。先述の民主党予算案の中でも「全国の公立小中学校を全て30人以下学級とすることとし、特に小学校3年生以下の30人学級化を優先的に実現する。」ための予算案を提出いたしました。
子どもの持つ「生命・生存・発達の権利」を明確にし、学校でも家庭でもどこにいても、子どもが伸び伸びと育つことができる環境づくりをめざして、「子ども政策」をまとめていきます。また、2004年4月開催の「子ども国会」の提言を踏まえ、世界中の子どもたちが等しく質の良い教育を受けられる権利の保障と、その環境づくりに取り組みます。こうした政策を実現するために、「子ども家庭省(仮称)」の設置に取り組みます。
民主党は、以下の子ども政策をマニュフェストとして提示しました。
- 一人ひとりに目が行き届き、親の不安が解消される教育を実現します。
一人ひとりの子どもにきめ細かく目が行き届くようにするため、民主党政権4年間において、少なくとも小学校3年生以下のクラスについて、すべて30人以下とします。毎年約800億円ずつ予算を増額し、同時に、必要教員数については配置実態などの精査を進めるとともに、必要な法律改正も進めます。学校内・地域での犯罪・災害から子ども達を守る対策を進めるとともに、スポーツ活動、地域交流、ボランティア、体験学習など地域、保護者、若者の協働による『充実した土曜日』を創出します。学力低下問題などに関する親の不安解消、学習指導内容を含む自治体の教育権限の充実、保護者や地域住民の学校運営への参画の推進、学校評価制度等の導入促進などについて、「教育改革基本計画」を策定し、「平成の教育改革」を順次、実施に移します。
- 幼保一元化やNPO支援で保育を拡充し、 学童保育も2万カ所に増やします。
約3万人といわれる保育所入所を待つ待機児童の解消をめざし、厚生労働省=保育所と文部科学省=幼稚園という縦割りによる分離を是正し、幼稚園と保育所の「幼保一元化」を推進します。また、NPOなどが行っている駅前保育・保育ママなど地域の多様な資源の積極活用を含め、待機児童解消に向けた具体策を実行に移します。現在、約1万3000カ所で行われている学童保育を4年間で2万カ所に増やし、指導員も4万人から6万人へと増員します。さらに、父母の就業実態に併せた保育時間の延長などを含め、待機児童解消に向けて、少なくとも初年度約300億円の予算を確保します。
- 次世代育成支援のための子ども手当(児童手当)を拡充します。
次世代育成を進める一環として、配偶者控除・配偶者特別控除を廃止するとともに、税の増収分で子ども手当(児童手当)を充実します。手当は義務教育終了年齢までを支給対象とし、食費、被服費をまかなえる水準とします。
- 無利子奨学金の貸与額を50%引き上げます。
長期の不況によって親の経済状況が悪化し、途中退学を余儀なくされる高校生、専門学校生、大学生が増えていることを踏まえ、3年間の緊急措置として、無利子奨学金の貸与額を、例えば自宅外私大生で現行6万3000円を9万4500円にするなど、希望者について50%引き上げます。また、就学継続が困難な生徒に対する授業料の減免措置を行う高校への財政支援を拡充します。この政策を実施するために必要な予算は、約600億円程度となりますが、文部科学部門の予算の精査及び政府予算全体の冗費削減で捻出します。
- 児童虐待防止へ児童福祉司を倍増します。
児童虐待を防ぐために、政権獲得後4年以内に児童福祉司を倍増し、児童相談所の体制を整備します。
- 子どもたちを有害情報から守ります。
残虐な暴力や性暴力などの有害情報から子どもを守るため、書物の区分陳列や放送時間帯の配慮などによって、普通に暮らす子どもたちが有害情報に触れないですむ環境をつくります。そのため、「子ども有害情報から子どもたちを保護する法律」の制定に取り組みます。また、情報化社会に生きる子どもたちが、情報のもつ意味を正しく理解し活用できる能力(メディアリテラシー)を持てるような教育を進めます。
- 「子ども家庭省」の設置に着手します。
子どもや家庭に関わる問題については、文部科学省や厚生労働省、法務省、さらに警察庁など多くの省庁にまたがり、縦割り行政の弊害が見られます。民主党は政権獲得後速やかに、子どもや家庭の問題について、一元的に政策立案・遂行する「子ども家庭省(仮称)」の設置に着手します。
http://www.dpj.or.jp/manifesto04/9_5.html
教育そのものの抜本改革についても全党的な組織を作って議論をしています。
学校図書の充実、「平和」「環境」の事業科目、教育オンブズマン制度、国立国会図書館18歳未満解放、内申書閲覧など個人情報の自己コントロール権の確立などの提言についても積極的に実現にむけて頑張りたいと思います。
(結びに)
結びに子ども国会でも紹介させていただいた詩を掲載しておきます。
子ども
批判ばかりされた 子どもは
非難することを おぼえる
殴られて大きくなった 子どもは
力に頼ることを おぼえる
笑いものにされた 子どもは
ものを言わずにいることを おぼえる
皮肉にさらされた 子どもは
鈍い良心の もちぬしとなる
しかし、激励をうけた 子どもは
自信を おぼえる
寛容にであった 子どもは
忍耐を おぼえる
賞賛を受けた 子どもは
評価することを おぼえる
フェアプレーを経験した 子どもは
公正を おぼえる
友情を知る 子どもは
親切を おぼえる
安心を経験した 子どもは
信頼を おぼえる
可愛がられ 抱きしめられた 子どもは
世界中の愛情を 感じとることを おぼえる
(川上邦夫訳「あなた自身の社会ースウェーデンの中学校教科書」1997年新評論より)
皆さんにお会いして中間報告と質疑の時間をとれればと思っています。
子ども国会に集った皆さんの益々のご活躍をお祈りいたします。たくさんの祝福がありますように。そして私たちの理想どおり、世界の全ての子どもが教育を受けることができる日が一日も早く訪れますように。私たち民主党も全力で努力することをお誓いしてお礼といたします。
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