2005年2月9日
原口一博国会通信(151)                    DIGITAL SYOKASONJYUKU

                        年金改革の原点は何か
                    年金に群がるものの正体

 衆議院予算委員会総括質疑で首相と年金改革について議論しました。年金給付対象人口が、そうでない人口を上回る時をさして、年金改革最終列車の発車時刻とするという論文を発表しました。給付対象が増えれば増えるほど現行制度の改革が難しくなることから、高齢化に伴う世界各国の改革までの猶予時間を示したものでした。イギリスが15年後、アメリカが30年後というような形です。しかし、これのどこを見ても日本がありません。丁度、年金法の強行採決で国会が混乱していた2年前に既にその期限は来ていたのです。

 単に給付と負担の数字合わせでは解決できない問題を、5年ごとに避けて先送りしてきたツケは、国民生活に陰を落としています。

 年金改革は、国民の立場から二つの安心が必要です。一つは、制度が持続可能で公平で安定したものであること。もう一つは、年金が適切に徴収され、国民から預かった年金資金が適切に運用され給付されることです。退職してから年金を減らされるのでは生活設計が成り立ちませんし、適切な年金運用がなされないならば、将来に対して安心を感じることができないからです。

 年金と一口にいっても構造は複雑です。現在の年金は、いわゆる二階建てになっています。1階部分は、全ての国民をカバーする国民年金(基礎年金 20歳以上の全ての国民が加入を義務付けられています。)です。この加入者は、自営業者等にあたる第一号被保険者、民間サラリ−マンや公務員等の第2号被保険者、そして第二号被保険者の扶養配偶者である第3号被保険者に別れています。

 2階部分は、第一号被保険者で加入者を対象としている国民年金基金、第2号被保険者のうち、官民でそれぞれ違う制度の共済年金・厚生年金に別れています。これらには、それぞれ3階部分として職域相当部分の年金や厚生年金基金が選択されている場合があります。

 官僚機構も年金制度の仕組みをつくる厚生労働省年金局・保険局と、年金保険料徴収や相談・給付を行う社会保険庁とに別れています。

 持続可能な制度改革を幅広い国民の支持を得て行うためには、予算委員会で指摘したとおり与野党が協力してあたることが必要です。国民の生活と将来の安心に対して、全ての政治家が責任を負うからです。徒に政争の具とするべきではありません。改革が遅れれば遅れるほど国家・国民にツケが回ります。

 一方、どんなに安心な制度を作っても運用が適切でなければ絵に書いた餅になってしまいます。年金の運用については、平成14年度の株式投資損だけでも3兆円を超えています。年金保険料から莫大なお金が、社会保険庁事務費に当てられていたこともご存知のとおりです。すなわち、年金運用のブラックボックスを国民に開いて責任を明確にする作業が必要なのです。国会通信で記したとおり、この「パンドラの箱」ともいうべき運用の実態は、多くが闇の中で、国民の目に触れていないことが問題なのです。

 財投機関に一部貸し出されていた147兆円という年金積立金も実際には、どれだけ毀損しているかわからないのが実態です。

 首相は年金改革への協力を私に要請されました。協力を惜しむものではありません。しかし、協力をお願いするからには、明確にしてもらわなければならないことがあります。それは年金運用の実態と責任です。国民年金法にも厚生年金法にも政府は、被保険者及び被保険者であった者の「福祉を増進するために必要な施設を作ることができる。」という条文があります。福祉を増進するという名目で、どれだけの年金資金が使われたかわかりません。赤字を垂れ流す施設はさらなる年金財政の悪化を生みます。 年金のブラックボックスを明かにしてこそ、真の公正と安心が得られます。既得権益の恩恵を受けえきた勢力には改革はできません。しがらみを一掃して、安定した年金制度を構築する基礎を築きたいと思います。


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