2005年8月5日
原口一博国会通信(158)                   DIGITAL SYOKASONJYUKU

                     市民政策の可能性

               市民・NPOが地域社会をどのように変えるか

  

 第162通常国会において私は民主党市民政策議員懇談会事務局長・議員連盟として、様々な市民政策提案プロジェクト・フォーラムで活動をいたしました。

 開催した市民政策議員懇談会はやNPOについて、冊子にして別途、ご報告いたします。

 

主な市民フォーラムと勉強会は下記のとおりです。

 障害者の権利保障と条約―日本版障害者差別禁止法ADAにむけて LADDフォーラム

 子どもたちの安全を守るNPO―通称ママチャリ法案作成会議

 ラオス・ナムトゥン2ダムの実態についての勉強会 国際支援と環境破壊について

 有明海再生全国ネット・諫早湾干拓事業を中止  有明弁護団・漁民ネットワークとの会合

 チャイルドライン支援議員連盟会合

 全ての子どもたちに教育を 子ども国会

 ホームエンターテインメント議員連盟

 障害者自立支援シンポジウム(自立支援法廃案にむけて)福岡会議

 障害のある人に焦点を当てた日米韓NGO交流セミナー

 震災から10年・震災とNPO神戸フォーラム

 市民政策交通バリアフリー法改正懇談会

 北朝鮮に拉致された被害者を救出しその家族を支援するシンポジウム 

 医療事故防止・患者の権利法制定議員連盟

 

ここでは、5月27日に開催された、「まちづくりにおけるNPO・行政・議会の連携と役割」をテーマとした市民フォーラムにおける、私の発言を掲載いたします。

 

私は、市民政策がどう政策を変えるかという観点だけからでなく、もっと広範囲に、市民の力が主権者の意思決定のあり方、あるいは民主主義、あるいは政党の形、さまざまな暮らしのあり方、そういうものを変えていく原動力だという視点から考えていきたいと思っています。

 

私たちは民主党という組織を「依存と分配の古い政治」を終わらせ、新しい「自立と創造の政治をつくる」ための政治的単位と位置付けています。すべての人たちが協働できるオープンなプラットフォームを目指したいと願っています。

コンピューターのOS(オペレーティング・システム)に例えるならば、オープンネットワークのリナックスのようなシステムです。

市民が、ネットワークに自由に出入りすることができ、そのプラットフォームの中で協力し合い、知恵を出し合い、自らの価値を実現していくことができます。民主党を緩やかで自由なネットワークの核として、様々な市民政策の提案や政策実現の場にしていきたいと思い活動しています。

 

市民協働セクター、経済市民協働セクターあるいは市民公益は、今後益々重要になっていきます。オープンなプラットフォームである民主党の政策立案過程にとっても、市民公益の実現主体と有機的なパートナーシップ築くことがとても大切です。市民と政党とノ新しい関係を意識的に創造していくことができるのか、ここに一重に日本の民主主義の趨勢がかかっていると考えています。

 

私たちはいくつかの体験を通して市民と政党との政策立案過程の変化を実感してきました。政策立案過程が現実にどう変化したかその実例を、二番目にお話したいと思います。

CAPNAをはじめとするたくさんのNPOのみなさんがこどもに対する虐待の問題にずっと取り組んでこられました。そのみなさんとネットワークを張ることによって、私たちは児童虐待防止法にこぎつけることができました。あるいはママチャリ法案も、今国会に提出しています。

 

NPOの市民公益のよさは、実践者であるということです。そしてより深く。そこにある悩みや苦しみやあるいは希望といったものを、実践を通して考えていらっしゃるということです。消費者基本法も、それまでは消費者保護法といいました。古い依存と分配の政治は、消費者に権利を与えるんだからそこには新たな責務が発生するということをいいました。私たちはNPO,さまざまな消費者団体のみなさんと一緒に議論をして、もともと消費者の権利というのは誰かから与えられたものなのか。消費者の権利は、もともと持っている権利であり、世界消費機構の定めている8つの消費者の権利を、この消費者基本法にはっきり書き込んで、そしてそれを中央政府や自治体政府に、事業者にどのように保障をしていくかという法律に変えました。これは障害者政策においても同様です。今までの古い官僚社会主義では、主権者と公僕であるはずの行政の関係において、主客が転倒しています。ここにも障害者団体の方々、当事者のいない意思決定は、認められないという当たり前だけども新しい「原則」をいれることに成功しました。

民主党は「市民が主役」ということを結党以来掲げてきました。「主役・当事者不在の政策立案、主権者無視の立法がいかに無意味で、あってはならないという原則」・「自由と人間の尊厳・人権から政策が起案されるべきという原則」を具体的な立法過程において「市民との協働作業」の中で再確認することができました。

 

NPOとの関わりは、立法府における政策立案過程を変えるだけではありません。行政府のありかたや司法のあり方さえも変化させます。

公益は行政が独占的に担うものでしょうか。私はそうではないと思います。税も行政が独占的にそれを集め使う必要はないと思います。新たな市民協働セクターが、公益を担っていき、市民は、「NPO税制」を活用して、様々な市民協働セクターをエンパワーすることができるようになるべきだと考えます。主権者は、納税についても選択の自由を拡大させることが肝要です。

 

そして市民公益に関する新しい考え方は、立法、行政だけではなく、司法も同様に変化させると私は思います。

私は諫早湾干拓事業に対して、諫早湾干拓事業を中止して有明海を守る漁民ネットワークや有明弁護団の皆さんと一緒に、活動を行い、諫早湾干拓事業中止のための原告団の一人にも名を連ねています。佐賀地裁で工事差し止めの決定が出されたことをとても喜んでいましたが、一転、福岡高裁で本当に信じられないような決定がでました。よくよく調べてみますと、この高裁判事がどういう方だったというと、これまで中央政府の代理人として、その利害を代弁をしてきた人ではありました。(司法から行政当局へ判事が出向するいわゆる判検交流・訟務判事の問題は、国会でも取り上げられ、大きな問題だと私は思っています。)その訴務判事が、NPOと中央政府との訴訟の審判を務めることが許されていいでしょうか?

私は司法の世界まで、例えば市民訴訟制度であるとか行政訴訟そのものまで、NPOの力が変えていくし変えていかなければならないと確信しています。なぜなら、司法の世界においても、主役は市民あり、主権者であるからです。

 

民主党の政調の直属に市民政策議員懇談会あるいはNPO局を置かない方針を貫いています。その理由は、政党の姿をピラミッド型に絶対したくないからです。ピラミッド型にしてしまうと全て中央で決めて各地に及ぼそうとします。実際に地方の自治といいながら、地方債一つとってみても自治体が自由に発行できるような形になっていません。市民公益をめぐる運動は、私たちの人間の尊厳と自由を守るための運動だと思っております。そしてプラットフォームということで常につながっているということが重要です。NPOのみなさんともたくさんの地域での意見交換をしましたが、これを一過性のものではなく必ず報告をし、そしてそれが次の立法にどうつながったのか。先日もこども国会のこどもたちと3つのことを約束しました。そしてその約束がどうなったのかということを報告する。

 

民主党の政策セクターとNPOが緩やかではあるけども有機的につながることが大切です。私たちは常時つながっていることによって生まれてくるものを大事にしていきたいと思います。

 

 市民・NPOと自治体との関係についても同じことが言えます。

自治体の主人公である市民の同意を得て、すべてが決定されるような仕組みを作っていかないといけないと思います。市民の代表が議会に行かなければならないけれど、役所や一部既得権者の代表になっていて代表性の齟齬が起きているのではないかと。民主主義における代表性そのものを見直していくことがまず大切であると思っております。つまり市民社会の要請する多様性がその代表機関が制度の中に内在しているかどうか。しかし現実には監査委員や教育委員の枠組みでさえ、中央で規制し、決めているわけです。

 

NPO自身もいくつかの独自の評価のステージをもって、それぞれの代表機関にいる人間を選別する知恵が必要であると。さもなければ、市民代表機関として、これまでの地方議会とは、全く別の機関である市民議会そのものを作るべきではないかと思っております。民主党の市民政策議員懇談会には事務局次長がたくさんいますが、パートナーシップを持っているか、人権に対する認識はあるか、理念とマニフェストが明確か、アクセス可能性は高いか、説明責任と評価基準を持っているか、などにより選んでいます。

そして、すべての議会が、国会と同様の代表制度で作られているということも、市民協働社会をつくるためには変えていかなければいけない大きな点だと思います。現在の地方議会は、働く人たちや子育ての真っ最中の皆さん等が参加できにくい仕組みとなっています。市町村によっては、特定の自営業の方々が議員のほとんどを占めるというものもあります。話し合われる内容も、福祉や教育よりも、公共事業や産業政策が中心となりがちです。

代表がしっかりと市民を代表する仕組みとなっているか、代表制の齟齬はないか?

現在具体的に地方からみた規制改革を民主党として立法化する作業を進めておりますので、またNPOのみなさんからもご意見をいただければと思います。

 

NPOの立法への関わりということでは、市民法制局というようなものがあればいいなと思っております。

私の地元の佐賀市は、 今、日本の中でも一番協働の取り組みが進もうとしているといわれていますが、それもファシリステーター(一般的には進行役と約されることが多いのですが、ここでは、チームワークを高めることで個々の持つ能力ややる気を引き出し、成果が最大となるよう支援する人物の存在を指しています)が大きくいと思います。コーチングの役割も大きく、ディベートだとかあるいは意思決定の仕組みをわかりやすくコーチングをしてくのが一番大事だと思います。

 

私たちは、様々なネットワークをつないでいくことを重視していきたいと思います。価値観や危機意識を共有する人たちが緩やかにつながりながら、政策目標を協働で実現していく。常時、つながっていることで生まれてくるものを大切にしていきたいと思います。

そしてわかりやすく政策を伝えていくという道具を市民が手にする必要があるのだと思います。お互いに理解をして、さまざまな問題を共有することによって生まれてくるものを大事にしていきたいと思います。

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