![]()
|
|
|
|
2005年8月6日 原口一博国会通信(160) DIGITAL SYOKASONJYUKU 繁栄はアジアにめぐりくる 東アジアの冷戦構造からの脱却を急げ 月刊『ガバナンス』05年6月号、THE
VOICE 誌上激論!2005 のなかでアジア外交をテーマに議論をしました。その後、中国は、為替の柔軟化政策に踏み切りました。北東アジアにおいて、今直残る冷戦構造を一刻も早く終わらせ、平和と安定を築くことが最優先されるべきだと私は考えています。 ▽原口一博氏に聞く ――小泉純一郎首相の靖国神社公式参拝や歴史教科書、領土問題などをきっかけにして中国や韓国の対日感情が悪化しています。中国や韓国を含め日本の対アジア外交はどうあるべきだと考えていますか。 原口 三つの観点から問題点を指摘したいと思います。 1番目は日米中3か国間の力学です。私たちは「トライアングル・コントロール」という言葉を使っていますが、日米中の3か国がパートナー、友人として健全な協力関係を築く、つまりしっかりとした戦略に基づいてトライアングルを構成することが、日本の国益にとって一番いいことだと思っています。 今はどうなっているか。日本はブッシュ米政権の真下に位置している。そのために三角形ではなく1本の線になってしまっています。その一方で米中両国はある意味、利害を共有している。かつての米中頭越し外交のように、再び米中が手を結ぶようなことが起きることもあり得ます。そういう事態を防ぐためにも日本は中国に対する戦略を立て直していく必要があります。 ――トライアングル間のパワーバランスを維持することが重要というわけですね。 原口 そうです。隣人が良くなることは日本にとってもいいと考えるべきです。 2番目の問題点は「では日本と中国はアイデンティファイする(足並みをそろえる)ことが出来るかどうか」ということです。この点に関しても不安観があります。一つは中国の通貨・元です。現在、元は中国経済の潜在性と比べて不当に低く、ドルにペックしている。不当に低い通過は、国際収支の不均衡をもたらすだけでなく、国内における産業格差、所得格差を広げ矛盾を拡大します。かつてプラザ合意後の日本がそうだったように、中国の元は、切り上げられなければなりません。しかし、その時に現在でも抱えている矛盾に耐えられるか?農業や国営企業の問題は、体制自体の問題になりかねません。 沿岸部と内陸部、輸入業者と輸出業者との格差が広がることが予想されます。その結果として中国政治が不安定になることも考えられます。要するにガバナンス(統治)における矛盾が急拡大しかねないということです。 中国のエネルギー問題と健康問題からも目を離せません。中国のエネルギー構造は見ると、1カロリー当たりの産業生産性がかなり低い。その一方で中国は凄い勢いでエネルギーを外から得ようとしている。これは世界だけでなく日本にもきつい影響を及ぼします。健康問題というのはエイズのことです。推計で現在、中国には200万人〜400万人のエイズ患者がいると言われています。それをヘッジする(封じ込める)ことが出来るのかということです。 ――3番目の問題点は靖国神社問題ですか? 原口 身内の人間が靖国神社に祀られているので私も参拝しています。日本の風俗や歴史、伝統からすれば「靖国神社は戦争を賛美するものだ」と言う方が余程おかしい。日本人には荒ぶる神を祀って祓い清めるという伝統があります。荒ぶる神とは何か。それは私たちの内面にあるものです。象徴的には「戦争を起こす力」と言っていいでしょう。それを外化(がいか。外に出すこと)することによって常に反省と鎮魂につなげていく。これが日本の和の風土です。一時期、国家神道という形で戦争に使ったことに対する反省と、日本の精神文化の中で和を尊んできたことと分けて考えてもらいたいですね。国と国とが理解し合うということは、互いの歴史や文化に対する認識が共有されてこそ可能になるんですから。 ――具体的な動きについて質問します。4月に中国各地で荒れ吹いた反日デモについて原口さんは「官製デモだった」との見方を示していますね。 原口 デモについていろんな分析が行われていますが、プロモーターがおり、整然と準備されたデモだったと思います。しかし、一連のデモで中国政府が受けたダメージは非常に大きかった。大使館や領事館といった外交施設に対して暴力を振るうというのは、戦時でも決して許されることではない。どんなに軍事力を使って対立しようが、外交施設は最後に残された対話の場なんですよ。そこに暴力を振るった。「中国の民衆には、まともに相手にできないような傾向があるんじゃないか」という見方を国際社会が持ってしまったんじゃないでしょうか。デモの背景にインターネットがあったことは間違いないでしょう。携帯電話の保有数は3億台と世界一です。中国は今、巨大な混沌の中にあると言っていいと思いますが、混沌とした状況なのに神経伝達物質だけが先に出来て、判断するところがどこにもなかったということではないでしょうか。 ――ジャカルタでの日中首脳会談で両国は、とにもかくにも事態の沈静化を図り、その後、中国側はデモを抑えこみました。しかし、両国間の対立が全面的に解けたわけではない。反日デモは終息したのでしょうか。 原口 反日というテーマでそう何回もデモをやれるものじゃないと思いますが、終息しないだろうと見ています。心理学の言葉に「教化」というのがありますが、いわゆる愛国教育という形で反日を植え込んでいるわけですから、それがさらに自己増殖していくと見ています。 ――靖国神社、歴史教科書、日本の国連安保理常任理事国入り……。これらが複合して反日デモを呼び起こしたのでしょうか。 原口 それは表面的な見方だと思いますよ。それよりも中国からすれば、いろんなサインを日本に送っても、それが日本側に通じない。「この人間は何を言っても馬耳東風だ。言葉の通じる友人ではない」と思えば、別の手段を取りますよ。「小泉外交の何が悪い」というのは簡単ですが、首相になる前、ワシントン、中南海(北京)、青瓦台(ソウル)に行って議論をしたこともない人がポッと出て来て、思い付きで外交をやっている。ある新聞に外務省幹部の話として「小泉首相がアジア外交を人ごとと考えていたツケが回ってきた結果だ」という記事が出ていましたが、小泉外交の問題点を指摘したものだと思いますよ。 ――では民主党が考えるアジア外交は? 原口 基本認識は「繁栄はアジアに巡り来る」です。今まで繁栄は欧米諸国に行っていたが、これからはそうではない。その場合、基本は民主主義と人権にしっかりと向き合うことではないでしょうか。人間の尊厳と自由と言ってもいい。そこでどういう共同体を作るかです。その場合、日本は戦時性暴力や強制労働など過去の問題にちゃんと向き合わなければいけない。自分のやったことをきちんと総括できない国は良くないですよ。 ■ DIGITAL松下村塾〜原口一博国会通信 メールマガジン登録
|
|
|
|