2005年8月8日
原口一博国会通信(163)                   DIGITAL SYOKASONJYUKU

     「個人所得課税に関する論点整理」政府税調報告について

                 サラリーマン大増税を許すな

 政府税制調査会がとりまとめた「個人所得課税の論点整理」において、給与所得控除をはじめとし、多岐に渡る大幅な諸控除削減が打ち出されました。家計を直撃する大増税・大幅負担増が示されています。私たちが衆議院財務金融委員会で対案を出して反対した定率減税の2分の1縮減ですが、全廃が規定路線とされています。

 その中身は、

 給与所得控除の縮小

 配偶者控除の見直し

 特定扶養控除の廃止

 扶養控除の年齢制限の設定

 子育て支援を所得税の税額控除で実施

 定率減税の全廃

 所得税率と個人住民税税率の変更

 などです。

 

 政府税調の議論を見ると所得税の担税力が落ちていることがしきりに議論されていますが、税を「取る」方の論理が先行した、生活者不在・国民不在の議論ではないかと思います。今回の報告がサラリーマン(給与所得者)増税といわれているのは、所得納税者の大部分がサラリーマンであるだけでなく、指摘された所得控除の多くがサラリーマンに適用されていることによります。

 

各種控除による税負担軽減額(2005年) 図1 

給与職控除

6.8兆円

基礎控除

2.0兆円

配偶者控除

0.7兆円

扶養控除

1.7兆円

うち一般扶養控除

1.0兆円

うち特定扶養控除

0.5兆円

うち老人扶養控除

0.2兆円

公的年金等控除

1.3兆円

社会保険料控除

2.9兆円

 

 

 

 2006年度税制改正の個人所得税見直しにおいて、この報告書どおり給与所得控除が実行された場合、所得税の実質負担が相当重くなることが予想されます。給与所得控除は、サラリーマンの給与収入に適用される控除です。これは@サラリーマンの勤務に関する経費として課税対象から除外し、A他の種類の所得と税負担の均衡を図るために設けられています。報告書は、正社員の減少や能力主義の給与形態の導入など雇用形態の変化を受けて、現在の画一的な控除を見なすことを提言しています。」

 政府税調は、サラリーマンに適用されているみなし所得比平均約28%の必要経費比率が高すぎると指摘しています。

 

 給与所得控除 図2

収入

給与所得控除額

みなし経費

経費率

65万円以下

65万円

65万円

100%

65万円〜180万円未満

収入×40%

26〜72万円

40%

180万円〜360万円

収入×30%+18万円

72〜126万円

35〜40%

60万円〜660万円

収入×20%+54万円

126〜186万円

28.2〜35%

660万円〜1、000万円

収入×10%+120万円

186〜220万円

22〜28.2%

1,000万円超

収入×5%+170万円

220万円〜

22%以下

 

 

 

 

 

 所得控除が2分の1縮小されれば、収入比+2.5+3.8%の負担増となります。負担が増える分、年金などのサービスが良くなるのであればまだしも、現実には、その逆でどんどん厳しくなっています。確定申告の対象を増やすとも言っていますが、税務署等の人員など具体的な部分には触れていません。

 

 サラリーマンの所得税の仕組みは、現在、下記の図のようになっています。

年収から、まず給与の一定額を給与所得控除というみなし経費として差し引きます。

そこから所得控除として「基礎控除」(38万円)と「社会保険料控除」(約12%)、家族構成などに応じて「配偶者控除」「扶養控除」などを差し引いていき、これらの各種控除を差し引いた「課税所得」に所定の税率(10%37%)をかけて所得税額が計算されています。

 さらに恒久的減税とされた定率減税20%(今年の国会で自公政権が10%に縮減、来年は撤廃の可能性も)を適用して年間の所得税納付額が決まります。

 

 

 

 試算によると給与所得控除を利用している人は約4436万人で、年収に500万以上では、年間10万円以上の税額負担増になるとされています。

 政府税調は、一方で子育て支援政策の要請が高まっているとして、現在の扶養控除を所得控除方式から税額控除方式に変えることも考えられるとしています。ただし、全体を見れば明らかなように、サラリーマン世帯の負担増はかなりの痛税感をもたらすものです。

 第162通常国会で、私が日銀に質して明らかになったことは、現内閣になってから、国民は一世帯当たりの預金を200万円も取り崩し、預金をもたない世帯が22%に上っているということです。

 もともと不公平感の強い給与所得者を、さらに狙い撃ちしたかのような大増税は、家計の所得を大幅に減じ、勤労意欲や景気にも大きな影響を与えます。

 夫婦2人・子ども1人(15歳以下)の世帯をモデルに、試算してみると給与所得控除の縮小が3分の1であった場合は、5.3%の負担率だったのが、+1.9ポイント増加して年間96千円の負担増。2分の1であった場合には、148千円の負担増となります。

この試算は、給与所得控除以外の控除見直しだけを考えており、その他の控除の廃止や縮減や定率減税の縮減・撤廃などは除外していますので、さらにこれらの負担増が重なれば、さらに大きな負担増になります。

 子育て世帯・勤労世帯に大きな負担増を強いる一方で、子育て支援を拡充しますというのは、大きな矛盾です。

 

 給与所得世帯が、自らの世帯を維持し、再生産していくための衣食住医のコストから考えれば、現行の給与所得控除が高すぎるとはとても言えません。

 

 いつからわが国は勤労所得に狙い撃ちしたような税制をかける国になったのでしょうか。働くことを大切にしない政治は、社会を滅ぼします。私たちは、民主党財政健全化プランを提示して、勤労者・生活者・子育て世帯の支援から、改革を実行していきたいと思います。 


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