2005年8月13日
原口一博国会通信(169)                   DIGITAL SYOKASONJYUKU

                        談合罪改正
                  官製談合防止法・談合関与罪

 原口独禁法・官製談合撤廃PT座長として「刑法の一部を改正する法律案」「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案」について協議をし、官製談合防止のための刑法等の改正の方向性についてまとめました。
 その大きな柱は、談合罪の構成要件の見直し(刑法96条の3第2項)と談合関与罪の適応範囲の見直しです。

 談合罪が目的犯とされた経緯について調査し、議論しました。昭和16年「偽計もしくは威力を用い又は談合に依り公の競売又は入札の公正を害する行為を為したる者は2年以下の懲役又は5千円以下の罰金に処す。」という談合罪の規定が決められました。単に談合しただけでは処罰されないというもので、「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も前項と同様とする。」とあるように、目的刑となっています。

 しかし、政府原案には、「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的」という文言はなく、単に「公の競売又は入札に関し談合したものを処罰対象とする。」という文言となっています。
当時、国会で修正をかけて、目的刑となった経緯を調査して驚きました。
大コンメンタール刑法(第二版)第6巻 P198〜199によれば、「当時、統制経済で自由な価格競争による批判も大きかった。官庁側から業者に談合を促していた。談合必ずしも悪ではないという考え方が強かったためとされている。」とあります。

 開かれた市場・自由な経済では、ありえないことが、堂々と書かれています。しかも統制経済が終わった後も、談合罪の条文には何らの改変も加えられていないということです。
まさに立法の怠慢ではないかと私は思います。

 談合関与罪において、談合を防止すべき立場にある公務員が談合に関与すること・公に係る組織的な行為を重く処罰していくことについても検討しました。
証券取引法改正では、有価証券報告書の虚偽報告のように市場の規律を侵害する行為を重く処罰する法改正を議員立法で行いました。同じく、公共の秩序を壊し、公の信頼を失墜させる談合関与罪についても同様の検討を行いました。

 ここでいう刑法において新たに処罰すべき「関与行為」とはどういうものかといえば、談合を容易ならしめるすべての行為を指し、談合が成立しないでも犯罪とできると考えることができます。公務員が談合を知っていて放置した場合、談合関与行為の共犯として立件できるほか、その人でなければ談合を止められないという重要な地位にある人であれば談合の正犯としても処罰対象とできることとなります。

 「黙認も関与と同視しうる。」というのは、黙認一般において当てはまるのではありません。関与を不作為の形で、談合をやるのを知りつつ黙認したことは談合罪の幇助罪で処罰されると考えられます。
     (教唆とは、 もともと犯罪を犯す意思のない人に犯罪を犯す意思を生じさせることをいいます。

  このほか、官製談合防止法の一部改正、職員に対する罰則規定の創設、独占禁止法違反が成立していない場合でも入札価格を漏洩したときなどを検討しました。

 現在の官製談合防止法は、受注側に入札談合等があった場合に発注側に将来にわたる排除および防止措置を講じるための法律です。刑法96条の3第1項で処罰される行為と実際のところは重なり合う部分が大きいため、刑法との関係をどう説明するかについても検討を行いました。
 
 法律により国等が常時3分の1以上の保有を義務付けられている法人を加えることについても検討しました。刑法の談合関与罪を民営化後の高速道路株式会社が行う入札等に拡大することについて、 刑法 96条の3 「公の競売又は入札」とは、「公の機関すなわち、国又はこれに準ずる団体の実施する競売又は入札を指し、公法人又は公共団体でもその事務が公務に当たらない団体の実施する競売又は入札は該当しないとするのが判例です。この考えに立てば、公社・公団も公の機関に含まれることとなります。しかし、従来、公の機関に含まれるとしていた日本電信電話会社、専売会社、国鉄などの3公社は、それぞれ法制が変わり、株式会社として私的存在となっているので、こういう公の機関とはいえません。

 「大コンメンタール刑法 第2版 第6巻201項」

 仮に民営化された株式会社については、談合関与罪が認められないとなれば、何がおこるでしょうか? 刑法の談合関与罪等は、公の競売等の公正が法益保護であり、国等が行う入札制度の公正を保持することを目的とする公務を妨害する罪と位置づけられています。

 民主党は道路公団民営化の凍結法案を提出しています。その理由の一つがここにあります。談合そのものが、民営化されれば、さらに野放しになる可能性が否定できません。高速道路株式会社が行う入札を処罰する必要がある場合でも、民間会社には談合関与罪が適応できないこととなります。

 民営化されたから競争にさらされるとは限りません。腐った体質が、民営化会社に引き継がれれば、さらに問題が深刻となります。

 そこで、私たちは、「民営化された株式会社に対して、公共的性格、地域独占の割合に応じて別法をもって担保することはできないのか?」「公的なもので民営化されたものが、官製談合の巣になる可能性を排除できないではないか。」「国会のチェックも効かなければ、前もっていた権限も温存される危険性もある。」「立法の意思として明確化できないか?」との検討を加えました。

 競争のない民は、最悪です。何故なら、既得権の温存・競争の排除・談合体質の存続につながるからです。

 総選挙後の国会で要綱をつくり成案にしたいと思います。


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