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| 2005年11月9日 原口一博国会通信(181) DIGITAL SYOKASONJYUKU 財政再建ビジョン 見えない社会保障が弱体化した後の財政のあり方について 【はじめに】 報道2001(フジテレビの政治討論番組)に出演。 自民党税調会長と論戦を交わしました。 「年金などの社会保障財源に当てるために消費税の増税を容認できますか?」との問い。53.4%がNOと言っています。 番組の中の議論でも、直間比率見直しは急務との認識は一致したものの、財政構造改革の道筋は食い違ったままでした。 財務大臣が2007年に消費税値上げの法案を国会に提出する方針を会見。 自民党財政改革研究会でも消費税について言及。 全額社会保障財源に充てるとすれば、12%から15%への税率引き上げが不可避との見方も示されました。 政府税調が定率減税廃止の方針を打ち出すなど、まさに増税ラッシュの様相です。 果たして財政の構造改革は、どのようにあるべきなのでしょうか? これまでの民主党税調での議論などを念頭に、基本的考え方を整理しておきたいと思います。 【見えない社会保障が弱体化したあとの財政のあり方】 高度経済成長時代には、成長によって隠されていた問題が、本格的な少子高齢化時代を迎えて顕在化してきています。 一般歳出における日本の社会保障の割合は、先進国と比しても大きくありません。しかし、これは雇用を通して見えない社会保障が提供されていたためです。 家族と企業という二つの「社会保障ユニット」が、見えない社会保障の役割を果たしてきました。 家族は、教育、介護といった機能を自己完結的に受け持っていました。企業は、終身雇用を通して住宅や福利厚生などを支えてきました。 少子高齢化の時代の変化によって、これまでのような機能を果たせなくなってきています。 家族だけで介護を受け持つのは不可能ですし、企業も一生を通して雇用を保障できるほど、存続できない事態が起きています。 【見えない社会保障の機能を社会化するための財政】 これまで家族と企業が担ってきた社会保障機能を社会全体で支える形にすることが求められています。 いわゆる見えない社会保障を「社会化」する要請が益々高まっているのです。 欧米諸国の間接税が高いのは、このような事情によるものです。日本の社会構造の急速な変化を考えると、明らかに政策が追いついてきていません。 「年金の最終列車はいつ発車するか」というIMF論文を昨年の財政金融委員会質疑で取り上げました。 まさに日本の政策は、乗り遅れているのだと思います。 直間比率の見直し・消費税税率引き上げは、避けては通れない課題です。 社会保障改革や行財政改革の全体像を一刻も早く示して実行に移すことが急務です。 安心の社会を構築するにあたり、しっかりとしたロードマップを作成することが求められています。 【膨大な財政赤字と財政発散の危機―世代間の不公平と不安】 さらに厄介なことがあります。 それはつけの先送りです。政策の失敗が財政赤字の拡大で取り繕われ続けてきたのです。これは究極の先送り・責任回避です。 GDPの160%を占める巨額の財政赤字は、さらに急増をしています。 財政赤字は発散の危機に瀕しています。 現政権になって悪化の度合いが増しました。 新規発行の赤字公債を「30兆円以内に抑える」との公約は、守られませんでした。 「そんな公約守らなくてもたいしたことない。」という答弁でも有名になりました。 しかし、以外に知られていないのが大量の財投債発行の事実です。 財投債を125兆円も発行しました。これが、さらなる財政赤字の原因となっていることは、ほとんど取り上げられていません。 世代が若ければ若いほど、先の世代に政策資源を食いつぶされるという、世代間の不公正が拡大しています。 まだ生まれてもいない曾孫の世代の政策資源さえも食いつぶすことが赦されるはずがありません。 言うまでありませんが、市場は株式の取引だけで占められているのではありません。 このまま財政赤字が発散し続ければ、国債市場に大きな混乱をもたらすことは必定です。 日銀をはじめとして、国内の金融機関は国債を大量に保有しています。 日銀総裁とも議論をしました。長期金利が上昇すれば、国債の価値は下がります。 長期金利が1%上がると、日銀の自己資本が1兆6千億円も毀損するとの答弁もありました。 貸し出しリスクが100であり、国債保有リスクがゼロというBISの自己資本規制があります。私はこの問題点を国会で指摘してきました。 金融機関は貸し出しをするよりも国債を持った方が「有利」です。大手銀行も地銀も国債保有を積みましています。 金融危機の時には株価が暴落して銀行の財務内容が急速に悪化しました。 今、国債が暴落すれば、銀行の自己資本を直撃しかねません。 まさに「終戦直後に匹敵する」財政危機と言っても過言ではありません。この財政の危機は、経済の危機と社会の危機に結びつく危機なのです。 危機は管理され、未然に防がなければなりません。 【財政赤字の本当の原因】 しかし、財政赤字をもたらした原因の分析や解決方法は、与党のそれとは大きく違っています。 社会保障関係費は、一般会計予算の中でも大きなシェアを占め、膨張圧力が強いのは確かです。人口構成の高齢化によってさらに圧力が強まっています。 しかし、社会保障費だけが、これまでの長期債務残高の急増の主な原因ではありません。 一番の原因は、他にあることを強調しておきたいと思います。 1990年代に景気対策として乱発された公共事業を中心とする建設国債増で約100兆円が増加しています。 経済財政運営の失敗により、税収は大きく減じており、この10年だけで200兆円の赤字公債増加につながっています。 時代と社会変化を無視した失政が財政を食いつぶしているのです。 アジアの通貨危機の最中に橋本財政構造改革法が強行されました。 何回も委員会で指摘しましたが、心配したとおり、却って財政赤字を拡大させる結果となりました。 9兆円の国民負担増は、新たに得られた税収の5倍も6倍もの財政赤字をもたらしてしまったのです。 もたらしたのは財政赤字だけではありません。 不況と倒産、金融破たん、失業、自殺。国民は塗炭の苦しみを味わいました。 つぶれなくていい会社がつぶれ、失業しなくていい人が失業しました。 【特殊法人を支える財投債】 2001年から始まった財投債の発行だけで125兆円も財政赤字が積みあがっています。これでどこが「小さな政府か」と国民は怒らなければなりません。 私は、上田代議士(現在、埼玉県知事)と特別会計の無駄を国会で追及してきました。 そのとき「母屋でおかゆをすすっているのに、離れですき焼きを食べている」と答弁したのは塩川元財務大臣でした。 役所の膨大な権益と化している特殊法人。一般会計は、「厳しい査定」をくぐりますが、特別会計はその実態さえ隠れたままでした。 官業支配の癒着の温床を塞ぐこともせずに、増税を求めるなど国民が理解するはずがありません。 財投債に厳しい目が注がれるのは、この特別会計の無駄を支えている最たるものだからです。 【地方財政のモラルハザード】 1991年に地方債の発行リスク10をゼロにしています。 地方財政計画の歳出規模は、一般行政経費を中心として地方債発行や交付税特別会計の借り入れが急増しました。 財政赤字を垂れ流しても最後は国が面倒を見るというのでは、規律は働きません。 地方自治といいながら、その責任の所在が不明という恐ろしい事態が続けば、破綻は必至です。 同じく90年代に乱造された第3セクター等の不良債権は、地方財政を破綻の危機に陥れる要因の一つです。 施設の運営費だけでも相当な額に上り、実質的な財政破綻のおそれのある自治体が見られます。 責任を負うはずの首長は、既に引退して誰も返せない財政赤字に苦しむところさえ報告されています。「自治体の倒産法制」整備さえもささやかれています。 【財政の持続可能性を示せ】 財政が巨額の公債発行によって賄われており、まさに持続可能性が問われてしまっています。 金利の上昇に対しても極端に脆弱な財政構造です。脆弱な財政が、社会の安定や経済の発展の大きな不安定要因となっています。 ただし、ここで必要なのは、悪戯に危機感を煽ることでも、国民を脅すことでもありません。 財政赤字を作った張本人たちが国民を脅して増税を迫るなどというのはブラックジョークです。許されるはずがありません。 冷静に、どのようにすれば財政が持続可能になるかを示し一刻も早く実行に移すことです。 超低金利政策も金融緩和も既に限界に来ています。 世界経済の動きをみれば、部分的なクラッシュは避けられないかもしれません。 しかし、政策責任者は、そのリスクさえも織り込んでおかなければなりません。 政策責任者は下手な呪いの占い師ではないのです。間違っても煽情に流されてはなりません。 「持続可能」な財政に戻すための慎重な舵取りが求められています。 2010年初頭の基礎的財政収支均衡(プライマリーバランスの均衡)+アルファが必要です。 単に基礎的財政収支を均衡させただけでは、累積財政赤字そのものは減少に転じません。累積赤字を解消するためには、抜本改革が必至です。 これは、政府機能の再定義や基礎自治体の見直しなど国のかたちそのものの改革です。 財政の歳入歳出両面における構造改革と、国のかたちの改革が同時並行で行われなければなりません。 【同時に行われるべき歳入・歳出改革】 歳出構造改革と歳入構造改革は、同時に行われるべきだと私は考えています。 徹底した歳出改革なしには、増税は受け入れられないというのは、正しい主張です。 しかし、このお題目を繰り返すだけで厳しい課題を避けていては、かえって危機が深刻化するばかりです。 税金の無駄使いは、構造の改革なしには改まりません。 特別会計の無駄、政府調達の問題点、公益法人による様々な規制と無駄に高い負担の問題、公共事業の適正化、談合問題など。 公益の再定義と保障に本格的な取組がなされない限り、政治すなわち税そのものに対する信任は得られません。 【増税こそ信を問うべきテーマ】 だからこそ選挙においてロードマップを示して国民に信を問うのです。 総選挙と総選挙との間の時期を利用しての増税を許してはなりません。 強行すれば、それは、重大なマニュフェスト違反です。 郵政民営化の是非を問いたいということで総理は解散に打って出ました。 今度は、国民が問う番です。何故、消費税を上げるのか?何故、サラリーマン増税をしないといいながら定率減税を全敗するのか? 政治の基本である税について、信を問うことを逃げる勢力に改革を口にする資格はありません。 ■ DIGITAL松下村塾〜原口一博国会通信 メールマガジン登録
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