2010年03月19日(金)
ICT維新ビジョン~これからの情報通信戦略について 

 
 情報通信戦略本部会合が立ち上がりました。
情報通信大臣としての戦略を発表済みですが、確認のために発言をしました。


 これまで以下の2点を意識しながら戦略の遂行を行ってきました。
工程表をさらに明確にして大きな変革を成し遂げたいと思います。

 1点目は、標準化・国際的なルールにおける競争にいかに打ち勝つかという戦略です。私は大臣就任後この半年で6カ国を訪問しました。米国FCCのジョナカウスキー委員長と会談し、4つのタスクフォースを設置しました。
 これは、ICTにおける世界標準を同盟国であるアメリカと協力して作り上げていくためのものです。
 グーグルやキンドル、ipodなどを称してその度にICTにおける黒船来襲とも騒がれてもきました。しかし、我が国は一方的に黒船の来襲で揺らされていただけではありません。例えばデジタルコンテンツは、言葉の壁があるにもかかわらず世界のシェアの10%以上を占めていますし、地上デジタル日伯ISDB-T方式を5カ国で決めた南米リマ宣言に象徴されるように私を先頭に総務省で進めている世界戦略によって、オセロのように日本方式が他の方式を抑えて拡大していこうとしています。
 東南アジア情報通信大臣会合においても日本が世界に先立ち、貢献する決意を述べてまいりました。
 これからは逆に日本から黒船を出していく。世界最速のブロードバンド・ユビキタス技術を背景に様々な分野で世界をリードしていく戦略こそが必要です。インドの情報通信大臣・環境大臣らとも会談しましたが、鳩山総理の強いリーダーシップにより合意された、デリームンバイ・大回廊構想を主導して世界のモデルとなる情報通信技術の確立の基盤を創りあげて参ります。競争力を回復するためにはローエンド製品の分野における優位性を持つことが極めて重要です。インドなどとの緊密な連携により、ローエンド製品開発の基地をつくり、アジア・アフリカ、中東、中南米、東欧などのこれから発展の加速度をつけていく地域を視野に入れた世界戦略を築いて参ります。

 このICT戦略会議の目標は、単なるICTの海外展開という控えめな目標に終わってはなりません。世界一の競争力・世界のスタンダードを目指しゲーム・オブ・ルールに勝利する戦略を打ち立てることが必要です。



2点目は、ICT維新原口ビジョン。これは、光の道を敷設してICTによる協働教育・医療改革をはじめとする産業構造改革・緑の分権改革を行うことにより、もういちど昇る太陽(ライジング・サン)のような豊かで強い社会基盤経済基盤を作り上げようというものです。
 ICTは全ての成長の牽引力となるものです。先日打ち出した「光の道」構想に基づき、コンクリートから「光の道」へパラダイム転換し、ICTの利活用を促進させる維新ビジョンを実行していきます。
電子政府化について、旧政権下では全く進んでいませんでしたが、情報通信大臣として、また自治・地域主権改革を推進する大臣としても強力に進めている最中です。具体的には総務省と経団連と電子政府のタスクフォースを立ち上げており、まもなくその結論が出る予定です。国民IDについても原口5原則を先週、発表しましたが、政府内でできるだけ早く結論を出してそれに基づき整備に着手いたします。
 ICTを活用し、地域の絆の再生、協働教育、トロンを用いた災害対策、救急医療、環境対応など、政治主導で実現していきます。
世界のコンテンツの10%は我が国で制作と申しましたが、旧政権時代の規制や慣習により出る杭は打たれる・出る杭は他国に引き抜かれるという事態が起きています。今後、我が国のICT人材を増加させるとともに、外国の優秀な人材も我が国で活躍できるような制度整備が必要で、総務省にICT人材グリーンカード制度のようなものが考えられないか、検討を指示したところでございます。
 
 総務省のシンクタンクNICTで脳情報通信融合研究を始めさせていただいています。ICTのシステムでは大きな熱を出しますので数年後は環境に悪影響を与える可能性も懸念されます。脳の情報処理システムは、ゆらぎの信号をもとにしていて、極めて変化に対応しやすく、しかも省エネにできています。これまでのICTのシステムを脳研究との融合を元に根本からパラダイムチェンジしていくことができれば、より高度で省エネの処理機能を獲得することができます。ICTにおける研究・技術発展にも戦略的資源投入を目指していきます。