2009年10月29日(木)
権力からの介入を防ぐための「放送・報道の自由」の砦

 
私は民主主義の基本は言論の自由にあり、どんな政治状況でも侵されてはならない放送・報道の自由があると信じています。 

 世界の歴史を見ても、時の政治権力は、自らを正当化するために放送に介入する誘惑を断ち切れず、今まで多くの言論弾圧や抑圧が行われてきました。

 真実に基づかない報道や人権を侵害する放送が相次ぎ、放送や報道自身で自主規制することができないことは、とても深刻な言論の自由への挑戦を招きます。

 現に私が衆議院総務委員会の筆頭理事を務めていた時にも、公共の有限の資源である電波を利用しているにもかかわらず、とても容認できない「事件」がありました。それは、政治権力に放送の自主規制のみに頼れないと介入の口実を与えかねない「事件」でした。
 
 全ての人の人権を守る上でも高い放送倫理が要求されます。それを遵守しなければ言論の自由そのものが守られないことを嫌というほど思い知らされた事件でした。

 強い規制を盛り込んだ放送法改正案が出てきたのも、このような事件を背景にしたものでした。しかし、私たちは当時の与野党で話し合い、強い規制を撤廃した修正案を国会で成立させることができました。私は野党民主党の筆頭理事でしたが、当時の委員長や与党理事(自公)、野党理事(民・共・社)国その他の会派の皆さんの志と識見の高さに改めて感謝を捧げたいと思います。

 その当時の委員会のメンバーをはじめ、国会の皆さんが「言論の自由」に対する姿勢が揺るがなかったからできた修正でした。

  この27日開催された「第57回民間放送全国大会」においても私はこの時のことを振り返り、 「このときはたまたま幸運だったのかもしれない。どんな政治体制になっても表現の自由,放送の自由,報道の自由は守られなければならない」とスピーチを行いました。


 しかし、喉元過ぎればの喩えに違わず、倫理は緩みがちだといわれています。真実と大きく違うデマゴーグをそのままインタビューとして放送することに対する苦情も寄せられています。


 放送事業者の皆さんに、自らお決めいただいたことを遵守されるように強い期待を表明したいと思います。 誰が権力につこうが、決して侵されることのできな自由。言論の自由を守る砦が必要だと私は思います。

 
 私が提唱している日本版放送通信委員会は、世界に類例のない「言論の砦」を目指すものです。