2009年07月23日(木)
ふみの日に

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7月は文月。そして今日は23日です。「ふみ」という語呂を合わせて、ふみの日とされています。ふみの日は、郵政省(現総務省)が1979年から実施しています。

 
 郵便事業、簡易保険事業、郵便貯金事業という3事業で郵政は成り立っていました。郵政事業は公社化され、その後民営化されましたがこの3つの大きな柱の事業は変わりません。

 民営化に伴い廃止された簡易保険法第1条は次のように規定しています。
「第一条(目的)
 この法律は、国民に、簡易に利用できる生命保険を、確実な経営により、なるべく安い保険料で提供し、もつて国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」

 郵便貯金法第1条も次のように規定しています。
「第一条
(この法律の目的) この法律は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」


 いつでもどこでも誰とでも手紙を送ることができる。郵便のユニバーサル・サービスを国家が保証し、なおかつ簡易保険法、郵便貯金法で国民の経済生活の安定と福祉の増進を図ることを目的としていました。歩いていける距離にある身近な郵便局。
 金融社会権というと難しく聞こえてしまいますが、国民の保険や貯金のセーフティーネットを郵政が担っていたのです。例えば、民間保険では危険な仕事をする人は保険にかかることができませんが、国が一定の保障を与えることにより、もしもの時に備えることができました。金融が極端に競争化された国の中には、銀行がお客さんを選別し、貧しい人は口座も持てないという国さえありますが、日本では簡易で確実な貯蓄の手段として、国民みなが郵便局を公平に使うことができました。

 地域の過疎化が進み、同時に高齢化が進んでいる現在、金融の決済機能としての郵便局の存在はとても大きなものがあります。郵便局では振り込め詐欺に合う高齢者の方が一番少なかったのも、郵便局が顔の見える金融だったからこそのことでありました。
「おじいちゃん(おばあちゃん)、もしかするとこれはあなたの孫ではありませんよ。振り込んでは
危ないですよ。」と地域に密着しているからこそ言えたのです。

 しかし、それも小泉さんの郵政民営化で大きく変化してしまいました。
それまで一体で運営されていた郵政事業は分社化されて、大きな分社化ロスを抱えてしまいましたし、地域の集配局が1000も減るなど、郵政ネットワークそのものが維持できるか危惧する声がでています。
 
 「郵政を民営化すれば税金も安くなるし、経済も外交もサービスもよくなる。郵便局はコンビニもできるようになる。」と言った4年前の郵政選挙の謳い文句が、今では虚ろに響きます。郵政で働く皆さんの懸命な努力にもかかわらず、サービスに対する苦情や料金が高くなったという不平は収まりません。

 広く遍く平等を旨とした郵政が小泉改革で痛んでしまいました。
一度、民営化したものを公社に戻すことは、また大きなロスを生みます。そんなにしょっちゅう官か民かといじっていては、経営そのものがもちません。

 理念なき郵政民営化で進められたビジネスモデルの欠陥を正すためには、まずは株式売却を凍結して民営化会社のままで分社化の経営形態を見直さなければなりません。かんぽの宿売却問題では、ガバナンスのあり方そのものも問われました。日本郵政は、100%国が株式を持つ特殊会社ですが、前の総務大臣と日本郵政の経営陣が鋭く対立して、大臣辞任にまで至るほどの事態を招いてしまっています。

 私たち民主党は、国民新党と郵政事業における国民の権利を保障するための改革委員会をつくり、そこで改革のための政策合意を致しました。この政策合意どおり、政権をとって、分社化ありきの民営化を見直し、国民の権利を守りたいと思います。