2009年05月14日(木)
連弾
連弾              駒場時代の詩  昭和54年

何故だろう
誰もが一生懸命生きているのに
誰もが優しいのに
思いは空ぶりし
声太った感性は毒をあおる
モーツァルトの曲はあくまで軽やかで
ヴァイリンの音は涼しい・・・
誰もが悲しい存在
命の火はいつか消えるのに
思いは虚しい渦をまき
憂鬱の毒は胸をめぐる
怒りが・・・
悲しみが・・・
遠くの方で
友の喜々とした声
田舎の素朴
男どものあっけらかん
寺田先生の剥げ頭
ストーム

張りつめた神経が
疲労の水溜りを飛び越えそこねて
震える
(震える)
ずぶ濡れの
野良犬のように
貧しい自我しかもたぬ彼は
人を責め憎み
ひとすがりの自我にしがみつく
全ては敵で全ては憎しみ
空洞は空洞を広げ
自分の中にも
ポッカリと穴を穿つ

ピアノの連弾はやめてくれ
さかなでする旋律

赤に青を混ぜたら何になる?

神は死んだ
人間への同情のため
自分ばかりに同情する人間
それに同情する神
神は死んだ
その愚かさのため