2009年02月12日(木)
原口一博国会通信2009年11号☆

「澄んだ瞳に託したい」
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 変化への対応が問われる政治

 今日はダーウィンの誕生日。種の起源・・・・
環境の変化に対応できたものが生き残る・・・・。
 まさに世界の見方を変えた研究でした。

 政治の世界も急激な変化に対する対応力が問われていると思います。
 2回連続の政権投げ出し。迷走しっぱなしの麻生政権。首をすげ替え
て目先を変えようとしても国民は欺かれません。首相を選んだ人たちの
責任そのものを問う総選挙を行うべきです。変化へ対応できなくなった
チームは下野すべきです。

 今日は、本会議で民主党を代表して質問に立つ予定です。
景気予算とはなばかりのデフレ予算。分権逆行の地方財政政策について
厳しく問います。

【本会議質問案】
「地方税法の一部を改正する法律案」「地方交付税法等の一部を改正する
法律案」及び「平成21年度地方財政計画」に対する代表質問(案)

民主党・無所属クラブ 原口 一博

 私は民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました、「地
方税法の一部を改正する法律案」「地方交付税法等の一部を改正する法律
案」「平成21年度地方財政計画」について質問します。

 「17日連続で休みをとらなければならなかった。」「手取りが半分にな
った。」「雇い止めになった。」「派遣切りをうけた。」政府・与党の皆
さんには働く人や職を失った人たちの悲痛な声が聞こえないのでしょうか
?週休4日という企業が出て、労働者の手取りも減り、貧困の深刻化も起
きています。
 この現実を目の当たりにした時、麻生内閣が提出した予算案・地方財政
関連2法案は、麻生総理が常々言う「100年に一度の危機」に対応するどこ
ろか、ますます深刻にするものだと思えてなりません。

【政府の景気対策・予算・地方財政関連法案の4つの欠陥】
 まず最初に、平成21度予算案及び地方財政関連2法案を含めて政府の景気
対策全般についての4つの致命的欠陥を指摘しなければなりません。

(景気・経済対策のスピード感のなさ、不適切さ)
 第1に、政府の景気・経済対策は的外れな上に、全くスピード感もないこ
とです。10月30日、麻生総理は解散を先送りして臨んだ会見で、景気対策の
「ポイントはスピード」と言っていました。しかし、昨年中に第2次補正予
算を提出することが出来ませんでした。また、年末の国会で麻生総理はじめ
与党の皆さんは景気対策の目玉といって「金融機能強化法」を大騒ぎのすえ
成立させました。あれから3ヶ月、「金融機能強化法」に基づく公的資金注入
は行なわれていません。アメリカに比べて対応のスピードの欠如は明らかで
す。挙げ句の果てに、今年になって出てきたのは定額給付金のような的外れ
な政策です。スピード感のなさ、ピントはずれ、これを政策不況と呼ばずし
てなんと呼ぶのでしょう。

(政府の現状認識の甘さ、経済成長見込の前提の崩れた予算)
 第2に、平成21年度予算案は前提が崩れている欠陥予算案だということで
す。平成21年度の実質GDP成長率について国際通貨基金(IMF)はマイ
ナス2.6%、日銀はマイナス2.0%と予測しています。にもかかわらず、政府
麻生内閣は成長率を0%と見込み、それを前提として予算を組みました。中
川財務大臣にお尋ねします。今や、21年度予算のベースになっている仮定は
甘すぎるのではありませんか、お答え下さい。
 また、最近は毎日のように決算が発表されており、2社に1社が赤字決算に
なるのではないかと感じるぐらいの厳しい状況です。法人税は約10.5兆円、
地方法人事業税は約3兆円と政府は見積もっていますが、さらに落ち込むこと
は必至なのではないですか。この税収はきちんと確保されると考えています
か、中川財務大臣と鳩山総務大臣それぞれに所管の税について答弁するよう
に求めます。

(デフレ予算)
 第3に、政府が出してきた平成21年度予算案は謂わばデフレ予算だというこ
とです。平成20年度予算と第1次補正予算と第2次補正予算を足し合わせた歳出
額と、21年度予算案の歳出額を比較すると、21年度予算案は3632億円のマイナ
スです。「未曾有の危機」で景気対策が総選挙より優先すると言いながら、麻
生総理はこんな緊縮予算を組みました。与党内では「当初予算が成立したら大
型補正をくむ必要がある」という声が公然と上がっていますが、これは本予算
案が景気回復の役に立たない、と言っているようなものです。麻生総理が感じ
ているのは、日本経済に対する危機感ではなく、自らの政権崩壊に対する危機
感であることは明らかです。このようなデフレ予算で、深刻な不況に対抗でき
ると考えますか、中川財務大臣お答え下さい。

(地方交付税が不十分)
 第4に、地方交付税も不十分、21年度予算案と同じくデフレ型だということで
す。麻生総理は大げさに「地方交付税を1兆円増額」と喧伝して、いかにも地方
に配慮して大判振る舞いをしたとでも言うような態度です。しかし、実態は端な
るつじつま合わせの措置にすぎません。麻生総理が「道路特定財源の一般財源化
の際、地方の自由になる財源を1兆円移す」と言ったものの、道路特定財源は一
般財源化されず、その代わりに地方交付税が増額されたのです。
 しかも、1兆円といっても「偽装」です。実際は国税の減収に伴い、地方交付
税の原資である国税5税の法定率分も減額するなど、この1兆円を加算しても、地
方交付税は平成20年度当初予算から4,141億円増額したにすぎません。さらに、
平成21年度の地方交付税総額は、今より景気がよかった平成18年度の水準すら確
保できていません。
 これで麻生総理が総務大臣として推進した「三位一体の改革」で疲弊しきって
いる地方が、現在の苦境を乗り切るのに十分だと考えますか、鳩山総務大臣に答
弁を求めます。
 
 以上、これらの政府の地方財政関連法案とその前提である平成21年度予算案の
問題点について申し述べました。今の日本の状況は麻生総理の言うような「100年
に一度の経済危機」である以上に、「100年に一度の政治危機」と言うべきものな
のです。

【一般財源化の偽装】
 次に、道路特定財源一般財源化の虚妄について質問します。地方税法の一部改
正案には、自動車取得税や軽油引取税等の使途制限を廃止する規定が盛り込まれ
ています。しかし、政府は未だ、道路整備の財源を確保するため、一般財源化を
偽装しようとしていることを厳しく指摘しなければなりません。

(地方からみて一般財源ではない)
 政府は道路特定財源を一般財源化したといいますが、これは政府の「まやかし
」です。政府・与党の道路族の抵抗により、道路特定財源である「地方道路整備
臨時交付金」は、「地域活力基盤創造交付金」と看板を架け替えただけに終わり
ました。「道路を中心に関連する他のインフラ整備や関連するソフト事業も含め
地方の実情に応じて使用できる」とされ、政府は8,000億円を道路に充て、残り
1,400億円を関連インフラ・ソフト事業に充てるとしています。
 政府・与党が、歳入を国の特別会計に入れないから一般財源化だ、といくら強
弁しても、歳出側で使途を道路と関連事業に限定していては、使う側の地方にと
って一般財源ではありません。これこそ政府の「偽装」の本質です。いくら理屈
をこねたとしても、これは財務省からみた一般財源化にしか過ぎないのです。
 国土交通省によると、「地域活力基盤創造交付金」は道路関連事業に限定され、
それ以外の雇用・社会保障・教育・医療事業に充てることは想定していないそう
です。鳩山総務大臣、この交付金は地方にとって何にでも地方のニーズに合わせ
て自由に使える一般財源と言えますか、鳩山大臣に明確な答弁を求めます。

(道路特定財源は現状維持)
 さらに、偽装一般財源化の経緯において道路関連の歳出は焼け太りしたとも言
えます。「地域活力基盤創造交付金」の前身である「地方道路整備臨時交付金」
は平成20年度で6,825億円でした。代わりに創設された「地方活力基盤創造交付
金」は9,400億円となり、道路に回る交付金としては増額です。また、表向きの
道路歳出と隠れ道路交付金の合計は平成20年度と比べ0.14%しか減っていません。
道路特定財源の事実上の現状維持です。

このように、政府・与党はあたかも道路特定財源を一般財源化したように国民を
欺きながら、道路関連の予算を死守して、道路に関連する利権を温存しようとし
ています。これが麻生内閣の一般財源化の正体なのです。

【ひも付き補助金・交付金の問題・一括交付金化すべき】
最後に、政府が景気対策に悪乗りして、旧態依然の中央集権型ひもつき補助金・交
付金を温存しようとしていることを厳しく指摘します。

 「地方活力基盤創造交付金」もひも付き補助金ですが、政府・与党は、その他
にも景気対策として様々な事業に使える交付金の創設や拡充をしたと豪語してい
ます。しかし、それらの交付金も従来のひもつき補助金と同様、地方が国にお伺
いをたてなければもらえないものであり、ひもつき補助金が持つ中央集権システ
ムを根本的に解決するものではありません。
 例えば、第2次補正予算によって創設された「地域活性化・生活対策臨時交付金
」です。政府は、地域活性化等に資するインフラ整備などに幅広く充当できること
をこの交付金の売りにしています。しかしながら、この交付金をもらうために自
治体は、内閣府に「実施計画」を提出し、別途総務省や事業所管官庁に交付金を
もらうための申請をし、お墨付きを得なければなりません。おまけに交付金の交
付決定までには内閣府と財務省、事業実施官庁の間で協議が行われることになっ
ています。これでは交付に時間がかかり、自治体が抱える問題にスピーディーに
対応できず、地域の創意工夫も活力もうまれません。
 こうした問題を解決するためには、交付金も含めてひもつき補助金を廃止して、
国にお伺いをたてなくても財政力や財政需要等を反映する指標を用いて配分され
る一括交付金に改めるべきです。この民主党の提案に対してどのように考えるか、
鳩山総務大臣の答弁を求めます。
 
【結語】
 自公政権がいくら的外れな景気対策を実行しても、道路を作り続けたり、ひも
付き補助金を地方にばらまいたりする旧態依然の予算編成を繰り返しても、地方
を再生し、日本を変えることなど出来ません。
 民主党は「国民の生活が第一」の理念のもと、無駄遣いをやめ、予算を組み替
えて本当に必要な政策に重点的に資源を投入することによって、国民の暮らしに
安心をもたらします。具体的には、「農業者戸別所得補償法案」や「子ども手当
法案」など実効性のある政策を実現し、特に地方の暮らしを下支えするとともに、
内需を拡大していきます。さらに、高速道路を無料化するなど、国民の生活コス
トを下げ、雇用保険の加入要件の緩和や、長期失業者に対する支援制度の創設な
どセーフティーネットを再構築していきます。こうした民主党の政策を確実に実
行していくことは、何よりも地方の活性化に結びつきます。
 内閣支持率が各世論調査で20%を割り、不支持率は軒並み70%を超えています。
一日も早く、解散・総選挙を行なって、国民に信を問うことが、唯一、麻生総理
が国民のために出来ることであると申し述べ、私の代表質問を終わります。