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第84回 ~蘭学と近代思想の基礎 佐賀と立憲主義

2014年04月26日 世界の中の佐賀

 

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佐賀藩が蘭学を奨励して全ての藩士の子に教育を施したことが明治維新をはじめとする日本の近代の基礎となったと幾度となく述べてきました。

反射炉を元にアームストロング砲や日本初の蒸気船凌風丸を建造して日本海軍の基礎を作ったのもこの蘭学の知識が大いに役立ちましたし、伊藤玄朴医師をはじめとする医学の祖たちも藩校弘道館の教育がなければ輩出しなかったかもしれません。佐賀出身者には、司法分野の逸材も多くいますが、これも人権を尊重する江藤新平侯らの学んだ蘭学の影響が強いのではないかと私は考えています。

 

アメリカ合衆国の建国の祖とされる人たちは、イギリスから渡ったピューリタンの人達でした。そのためにアメリカをイギリスの兄弟のような国だと思っている人も多いかもしれません。このピューリタンたちは、イギリスを渡ってアメリカに着くまでの間に10年近くオランダに逗留しています。イギリスからの独立戦争に象徴されるようにカトリックとプロテスタントの違いは大きく、自由と独立・人間の尊厳を保障するというアメリカの建国の理念のもとは、イギリスというよりはオランダにおける当時の世界的な理想・近代の理念を色濃く反映したものだと言えるのではないかと考えています。

 

ニューヨークが元々はニューアムステルダムと言われていたことも皆さん、ご存知のとおりです。初めてアメリカに渡った人たちオランダの首都アムステルダムのような街を作ろうとしたのではないでしょうか。

「すべて国民は、個人として尊重される。」この日本国憲法の13条の条文も近代の普遍的な価値観をうたったものです。これもオランダの個人の人権尊重の哲学・近代思想の影響を強く受けているのではないかと私は考えています。

 

あの大政翼賛政治にも佐賀の先達が立憲主義を掲げて、それに真っ向から異を唱えて戦ったのも私たち、佐賀に生きるものに流れる自由と人間の尊厳に対する思想的な背景を考えると素直に納得いくのではないかと思います。

 

現在においては戦後レジュームからの脱却という言葉までもが安易に使われて、まるで立憲主義さえ放棄しかねないかのような危うい言葉が国会でも政治家の口から発せられるようになりました。

 

憲法はアメリカから押し付けられたもので私たちの歴史的な背景とは必ずしも合致しないと言う人さえいます。しかし自由な風土で培われた立憲主義と人権尊重の思想は、まさに蘭学を積極的に取り入れた教育を引き継ぐ佐賀の人たちには、この70年足らずで移植されたものというよりも、私たちの血脈の中に滔々と流れ込んでいる歴史の本流なのではないかと私は考えています。

 

太古の頃から人類は移動を繰り返しながら環境への適応能力を高めていきました。強いということは、強大な力を持つことと同義ではむしろなく、柔軟な思考を持ち、何にでもしなやかに対応できる適応の能力を持つことではなかったかと思います。

世界地図を広げてイギリスを出た人たちが、アメリカにたどり着くまでにどんな航路を辿ったかを追うときに、私たち佐賀に共通する理想の根源に出会うことができます。

私は、そのような佐賀にご縁をいただき生まれ育ったことを誇りに思います。

2014年4月号掲載


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