第16回 「微笑の国々から」
タイのドン・ムアン空港を降り立つと、むっとするような熱帯の風と圧倒的な人の群れに放り込まれます。ゆったりと流れる川の上をひっきりなしに行き交う小船の一団。色とりどりの花と美しい寺院の建物。そこかしこに屋台がならびナム・プラー(魚醤)とパクチー(香草)の匂いがアジアの懐の広さを感じさせます。
昨年、私はミャンマーとカンボジアを訪問しました。トランジットに使った空港は、ドン・ムアンではなく巨大な新空港・スワンナプーム空港でした。王朝の時代から独立を守り続け、日本と同じ仏教国でもあるタイは、不思議な共通点を持っています。
タイという言葉は自由を意味する言葉だそうです。人を許すことは最大の美徳とする国。自由の国の人々はいつも微笑をたたえています。人前で怒りを表わすことを恥として慎むのは、多くの国で基礎的なマナー、規範とされてきました。肉体的な暴力を伴わないでも言葉や態度でも人を滅ぼしてしまうほどの負の力があることを歴史が教えています。
私たちの住む佐賀県にも多くの笑顔があることは、前にも書かせていただきました。町のあちらこちらに恵比須様がいらっしゃる町はそう多くはありません。「笑う門には福来る。」と申します。恵比須顔は、福を呼びこみ繁栄と幸福をもたらす象徴です。
タイにも佐賀県人会があり、多くの方々がお世話をしていただいています。
大型サイクロンが襲い、ミャンマーなどで未曾有の被害が出ています。AMDA(国境なき医師団)などを通して被災地支援を行いたいと思います。
胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が来日、戦略的互恵関係を確認しあいました。中国の国家主席としては10年ぶりの日本訪問です。
互いを許しあい、受け入れ、尊重しあうことの象徴が微笑です。微笑みが多くの絆を強めるように祈ります。
写真上/5月11日、嘉瀬川河川敷の佐賀県総合防災訓練にて、ボランティアの皆さんを激励。
写真下/同日、あしなが学生募金事務局の皆さんと意見交換。活動を心から応援しています!
2008年8月号掲載