第70回 「おほやけ(公)の意味」
世界を歩くと自警団や消防団、様々な地域独自の安全・安心を守る仕組みがあるのに感心させられます。私も年末・年始は、消防団の年末警戒から出初式まで様々な消防の行事に出席、感謝と激励のご挨拶をさせていただきました。ご存知のように、佐賀県は、日本一消防団の加入率が高い県でもあります。公に尽くす奉仕の心があったればこその消防団です。
公に尽くす精神とは何でしょうか?
そもそも尽くす対象の「公」とは何でしょうか?
公(おおやけ)と言う言葉の語源を考えると、日本人が大切にしてきた公の意味について深く考えさせられます。
「大帯日子命(おおたらしひこのみこと)、御宅(みやけ)を此の村に造り給ひき。故(かれ)、―の村といふ」〈播磨風土記〉
この播磨風土記にあるように、公(おおやけ)とは、おほやけ(古語)から来た言葉で大きなやけ(宅)、すなわち、大きな家、共同体を営む中心施設を指しています。
まるで一つの家のように皆が助け合い、同じ家族のように支えあう。このような考えがおほやけの言葉の起源なのかもしれません。
聖と俗 公と私
宅が次第にさらに大きくなって邑、そして国へと発展していったのでしょうか? 共同体を共に支える責務と共同体から守られるという安堵。社会的な営みを行う人間ならではの、共同体の発展過程と日本における公の意識の醸成について考える時、「和」を尊ぶ気風にも思いが至ります。
佐賀では三夜待ちとか六夜待ちといって、人々が集まり懇親を深める風習があります。共に食事をしてお酒を酌み交わして和む。和むことから生まれる強い絆と連帯に地域の底力を感じます。
写真上1)鳥栖市消防団出初式(2013 年1 月13 日)
写真上2)佐賀市消防団年末警戒激励挨拶(2012 年12 月29 日)
写真下1)若楠校区ほんげんぎょう(2013 年1 月6 日)
写真下2)元旦街頭演説(2013 年1 月1 日)
2013年2月号掲載