第48回 「ベナンの子どもたちを支える佐賀の若い力」
南米ペルーで私が総務大臣の時にリマ宣言を発して以来、デジタル放送日本方式が世界に広がって参りました。新幹線や原子力発電といった日本が得意な技術を新政権が積極的に売り込む戦略を立てていますが、その中でも情報通信技術は、成功を重ねている事例の一つです。
先日、アフリカのベナンからも日本方式を採用するという嬉しいニュースが届きました。私は日本、ベナン議員連盟の会長をしていますが日本との友好な関係と技術が評価されたものと思います。
アフリカ中部の国、ベナン共和国を訪問したのは7年前のことでした。ビートたけしさんのご縁で付き人のゾマホンさんと超党派の議員5人で350㎏の文房具を持って参りました。アフリカの中でも特に平和で民主的な国、ベナンですが、旧植民地時代からの構造的な問題は深刻です。公用語が旧宗主国の言葉となっており、識字率は20%にも上りませんでした。国民の多くが字が読めず書けないということで教育や文化の伝承、科学技術の発展にも大きな障害となっていました。乳幼児死亡率が9割にも上っていたのも「教育」の不足によるものでした。
「子どもたちを救いたい。」その一心でたけしさんやゾマホンさんを中心に学校をつくろうという試みが前進してきました。その最前線で働いてくださっている佐賀市出身の若い女性の方にベナンで出会ったときに胸の奥から湧き上がるような感動を覚えました。
小さな頃、タイガーマスクというアニメに夢中になりました。覆面プロレスラーの主人公、伊達直人が身寄りのない子どもたちを見守り支える物語です。日本でも格差が広がっています。それとともにできないことを言い募り人を激しく攻め立てる一部のメディア風潮も目立ってきました。その一方でタイガーマスクを名乗る匿名の人物が施設の子どもたちにランドセルを置いていくことが報じられています。
強くて優しい。たくましく暖か。
佐賀から遠く離れたアフリカの地で、佐賀出身の方に出会うなど夢にも思っていませんでした。楠の青葉を吹き抜ける佐賀の優しい風に触れたような、暖かな気持ちになりました。
教育を普及することによって救える命がある。教育を受けることによって無くせる争いがある。人間の安全保障の基本は、教育にあります。
写真上/1月9日、佐賀市の消防出初式に出席。
写真下/12月30日、佐賀市内で年末の挨拶回り
2011年4月号掲載