第28回 「教育が成し遂げた近代化~ 近代化産業遺跡の世界遺産登録を目指して」
「非西洋地域で最初でかつ極めて短期間に飛躍的な進展を遂げた日本の近代化において原動力」となった地域として佐賀が上げられています。平成21年の国の世界遺産暫定一覧表に九州・山口の近代化産業遺産群が記載され、候補として旧高取家住宅が入りました。佐賀藩関連遺産の築地反射炉跡、多布施反射炉跡、精錬方跡、三重津海軍所跡等が考えられ、佐賀県や佐賀市などが現在調査に着手しています。
自力で海外の書物から近代化を成し遂げるとともに、人材を求め積極的な技術導入を果たした背景には、教育に対する熱心な政策の成功がありました。鹿児島市の旧集成館、萩市の松下村塾。そして佐賀の弘道館。新しい技術は、新しいエネルギーの導入とともに開花していきます。石炭産業と重工業化の流れがそれです。
今に目を転じると再び世界的なエネルギーの大転換の時代に入っています。アメリカのオバマ大統領も核廃絶を唱え、グリーンエネルギー政策を推し進めています。化石エネルギー依存を減らし、自然の恵みから綺麗なエネルギーを人々が、まるで田畑から作物を収穫するように生み出す時代が到来しています。佐賀は太陽光発電が日本一の地域です。もし、綺麗なエネルギーを人々が生み出すことに高い価値をつけることができれば、資金の流れも資本の一極集中も根本から変わります。緑の分権政策を佐賀独自の地域通貨と組み合わせて実現することができれば、地域をお金が回り始めます。そうなれば、中央政府の補助金に頼る自治も脱却することができます。
明治の佐賀が成し遂げたことを再び、私たちは教育において成せばよいことがお分かりになると思います。世界遺産登録をめぐる運動は、これから県民運動として広がっていくと思います。オランダやポルトガル、イギリスから見て当時の佐賀がどのように映っていたのか?貪欲に知識を摂取して技術を習得する人材はどのようにして育まれていったのか? 壮大な物語を貫く基本は教育にあったことを、様々な文献で確認していただければと思います。
写真上/4月19日、佐賀市内にて、あしなが学生募金への協力を呼びかける。
写真下/4月26日、グリーンフェスタin白石にて、皆さんと共に植樹。
2009年8月号掲載