第43回 「ミュンヘンへの道」
山田義実先生のもとで日本一を目指していた佐賀城南中バレー部。当時の私達は、佐賀で合宿をしていた全日本バレーのお手伝いをしていました。世界1をめざす松平全日本は、日本中の子どもたちにも大きな勇気を与えた存在でした。
「ネットの上に肘が出れば、君もレギュラーとして活躍できるよ。」チームの中でもとりわけ小さい私を励ましていただいたのは、ミュンヘン五輪優勝を目指していた全日本バレーの森田選手らでした。
佐賀の市村記念体育館でのことです。私は、14歳。中学生だった私にとってもまたとない大きな励みになりました。
極限状況ともいう中で球拾いをしている中学生にも優しい声をかけることができる。強いこととは優しいこと。具体的な努力目標を授けることができる。190㎝を大きく超える大きな選手の声は150㎝そこそこの私には天からの声に聞こえました。
「あの時のお礼を言いたい。」35年の時を経て松平監督と森田選手にようやくお礼を言うことができました。ご両名ともことのほか喜んでいただいて、佐賀の山田先生やチームメイトに素敵な本の「言葉」をくださいました。松平監督は、鹿島出身の中野コーチのご縁もあり当時の池田佐賀県知事を先頭に県民全部が熱心に全日本を支えていただいたことへ感謝をお述べくださいました。
「負けてたまるか」松平監督のご著書どおり、数々のピンチを跳ね返し見事松平全日本はオリンピック世界一・ミュンヘンの空に日の丸を揚げることに成功しました。
「自分たちが社会から受けているご恩のお返しをしなさい」
日頃から監督に厳しく指導を受けていましたと森田さん。
森田選手や横田選手らは、小さくても頑張っている中学生に同情をおぼえて偶然におっしゃった言葉ではないことがお会いして確信に変わりました。
多くの人たちに支えられた全日本だからこそ、出てきた言葉でした。
「世界一」を間近に経験できたことがその後の人生の指針になりました。今を生きる子どもたちにも素晴らしい経験をしてほしいと思います。子どもたちに、真善美・大きな志の超一流を経験する機会を積極的に作りだしていけたら素晴らしいですね。
写真上/7月25日、佐賀大学附属小学校6年生のお二人から子ども佐賀新聞の取材を受ける。
写真下/8月3日、東京研修に上京した佐賀西高2年生の生徒が総務省を訪問。
2010年11月号掲載