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第82回 教育こそ国の宝~如蘭塾の70年に思う

2014年02月26日 世界の中の佐賀

 

①日本大学法学部「政治的人材育成について」基調講演

戦時中に旧満州から少女を留学生として受け入れていた武雄市の清香奨学会・如蘭塾が創立70周年を迎えたのを機に「如蘭塾の70年」という本を出版しました。日本、特に佐賀が世界の教育に果たしてきた役割は、とても大きなものがあります。佐賀で学んだ留学生たちは、困難な時代を生き抜き世界の平和と発展のために活動するとともに日本との友好の架け橋として活躍してきました。

 

世界の人口は、今も爆発的に増えていますが、かつては20億人以上もいた1日1ドル以下で暮らす最貧困層も今では13億人とけして少ないとは言えませんが減少する傾向にあります。これにも日本が世界の教育や産業の振興に果たした役割は大きく青年海外協力隊をはじめとした海外協力の元祖は、佐賀の末次一郎先生らであったことは、この連載でも何回か触れさせていただきました。

 

「教育こそ国の宝」という理想・如蘭塾のような佐賀の友好の絆は世界をより豊かに平和にすることに貢献してきました。

先日、ある勉強会での講師の方のご指摘にはっとさせられるものがありました。それは第一次世界大戦と第二次世界大戦をそれらの戦後の時代のそれぞれの国の数字の動きについてでした。
新興工業国が急速に伸長して、それまで優位であった先に工業化した国をGDPにおいても追い越していくポイント(クロスポイント)を見て私たちは、議論を深めました。二つの世界大戦におけるドイツと他の先進国とのクロスポイントは、3つありました。

ひとつは、第一次世界大戦前にドイツが他の欧州先進国を追い越したポイント。もう一つは、第一次世界大戦でドイツが敗れて再び逆転したポイント。最後の一つは、第二次世界大戦前に再びドイツが、他の欧州先進国を追い越したポイント。

ここで何が起きていたのでしょうか?経済上も政治上でもドイツよりも優位を保っていた国々の国民は、ドイツに抜かれた時にどのような感情を抱いていたのでしょうか?そしてドイツの国民は、何を考えたのでしょうか?

古い秩序と力のバランスが崩れた時に、それを守るとする勢力と打ち壊そうとする勢力がぶつかり合う。二つの世界大戦を数字のみで読み解くのは単純に過ぎますが、経済秩序においても大きな主役交代が起きようとしていたのではないかとも思えます。

今日の世界を見てみると、このクロスポイントがアジアにも現れていることがわかります。世界第二位の経済大国であった日本が、その地位を中国に脅かされ、(少なくとも数字の上での)クロスポイントができています。このような時に、その地域で軋轢が高まることは、二つの世界大戦でも立証されたことではないかと思います。

開かれた世界。相互の関係はさらに密接になっています。本来であれば隣人が良くなることは、自分も良くなるというWIN・WINの関係でなければならないはずです。

それがそうは必ずしもならないところに国家経営、さらにミクロで言えば人間の感情の難しさがあります。時代の流れをとらえて、軋轢や紛争を未然に防止する知恵が試されているとも言えます。大きく歴史や世界の背景を俯瞰した行動や視点こそが大事ではないかと思います。

 

友好の架け橋は発展と平和の架け橋です。世界が豊かになる恩恵を享受するのは、自由な国である我が国です。開かれた世界。暖かな支え合う社会を目指して、佐賀の先人が何をなしてきたのか。佐賀の教育の歴史を紐解いてみましょう。
②国会図書館に保存されている末次一郎先生の資料 ③若宮餅つき

写真上)日本大学法学部「政治的人材育成について」基調講演
写真下1)国会図書館に保存されている末次一郎先生の資料
写真下2)若宮餅つき

2014年2月号掲載


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