第34回 「楽園の島 ハワイとオバマ大統領 ~受け入れる心~」
長崎出島を管理していた佐賀には、もともと異質の文化を受け入れる風土があります。来訪者を暖かく受け入れ、自らの教育や科学技術などの発展につなげてきました。
9・11テロ以来、世界が分断され狭隘なナショナリズムさえ感じる今日、オバマ大統領と鳩山総理の会談は、核のない平和な社会をつくり新たな統合へと道を拓くためのとても有意義なものとなりました。
ケニア人の父
白人の母
大統領の両親は楽園の島、ハワイで知り合われています。お母さん、アン・ダナムさんのご出身は米国のハートランドです。アメリカの中でも保守的な地域です。ハワイ大学に留学していたケニア人奨学生バラク・オバマ・シニアとの出会いがハワイであったことを私は象徴的な出来事のように思います。
ハワイ大学は東西文化の融合研究で有名です。イースト・ウェスト・センター理事長のチャールス・モリソンさんは、私に東西冷戦、違いを乗り越える智恵を授けてくださいました。どんな人でも温かく受け入れるハワイで私も「民族や宗教、人種や国家の違いを乗り越える」学びをいただきました。
お二人は1959年に結婚され1961年8月4日にバラク・オバマ・ジュニアが生まれますが、その2年後、シニアは家族をハワイに残してハーバード大学で学び、その後ケニアに帰国。エコノミストになられています。
オバマ少年が6歳の時にお母さんはインドネシアの石油会社の重役と再婚されており、お父さんと再会したのは10歳の時、ただ一度だけだったといいます。
大統領は人間の尊厳という言葉を幾度となく使われました。自らの生涯に重ね合わせて私は涙が溢れそうになりました。
「リベラルなアメリカも保守的なアメリカもありません。あるのはアメリカ合衆国だけです。黒人のアメリカも白人のアメリカもラテン系のアメリカもアジア系のアメリカもありません。あるのはアメリカ合衆国だけです。われわれはひとつの国民であり、誰もが星条旗に忠誠を誓い、誰もがアメリカ合衆国を守っているのです。」
講演会で配られたパンフレットの中にオバマ大統領誕生の大きなきっかけともなった2004年の民主党大会での演説の一部が紹介されていました。
あなたはあなたのリーダーを自らが選ぶ権利を持つ!
違いを乗り越える勇気と寛容
分断された世界を統合し、離反している人々の心をつなぎ合わせる。
世界の指導者に最も必要とされているリーダーシップです。
写真上/11月3日 2009佐賀インターナショナルバルーンフェスタ会場にて。
写真下/10月17日 福岡市のホテルオークラにて、全国知事会会長の麻生福岡県知事と福岡県経済人との意見交換会。
2010年2月号掲載