第80回 フューチャースクール(未来の学校)が日本の教育を変え日本を変える
佐賀県内の小中学校、高校に情報通信機器を使った協働教育が全国に先駆けて導入されてきています。新しいICT(情報通信技術)を使って世界の真善美・大きな志を佐賀県にいながらにして体験・学習できる。国境を越えて感動や協働を共有できる。私が総務相時代に提案して現政権でも引き継がれている「未来の学校」は、単なる情報通信機器による電子黒板や電子教科書の実験ではなく、協働教育そのものの挑戦にほかなりません。
先生が黒板の前に立って一方向的に子どもたちに知識を伝授するという時代は、終りをつげているように思えます。この「未来の学校」では、子どもたち自らが、互いに教え合い、支え合う。発見や問題解決の共有によって、生きる力と支え合う絆を築いて行きます。
もともと、このモデルを考えたのは、20年くらいも前のことでした。
世界有数の都市国家であるシンガポール。当時、私が所属する松下政経塾とシンガポールの間で活発な交流があり、そこでは、世界の最先端の大学の授業をICTを使ってシンガポールにいながらにして学ぶ試みを実践しようとしていました。
「教育こそが国家の礎」
「たとえ欧米先進国の主要都市からは遠く離れた国であっても最先端の授業を受けることができたらどんなにいいだろう。」「ロンドンやパリ、ボストンやロスアンゼルスに行かなければ学問ができないなんてありえない。」20代の若い仲間で夜を徹して話し合いました。
そこで議論したのが「未来の学校」の原型です。
日本の中だけ見ても東京に一極集中して、上京しなければ最先端の知識が得られないなどというのは、とてももったいない話です。
佐賀はとても教育熱心な土地柄です。佐賀にいながらにしてわくわくするような知識や知恵を身につけられたらどんなにいいでしょう。
民部卿、文部卿として学制を制定し日本の教育制度の基礎を作った人は、佐賀の七賢人の一人、大木喬任侯です。侯は、江戸を東京府と改名して府知事にもなりました。新しい情報通信機器の発達は、時間や距離の成約から人々を解放する原動力にもなっています。少子高齢化の進む日本。その成長戦略にもICTによる個々の日本人の生産性向上の戦略が中心を占めなければなりません。
佐賀県議会でも「高校生一人ひとりにタブレット型PCを持ってもらうのはいいのだろうが、一人5万円の自己負担は厳しいのではないか」との議論があったそうです。クラウドとWiHiの発展は、もっと安価な情報通信機器の導入に道を開きます。大事なことは、負担の軽減を図りつつも、子どもの時からこれらの機器に慣れ親しみ、互いに支え合う絆と問題解決の知恵を共有することです。
機器はあくまで道具に過ぎません。使い方によっては、弊害もあることをも学びながら積極的に「未来の学校」の理想実現の先頭に佐賀県の皆さんに走っていただきたいと思います。
写真上)佐賀大学学生会議
写真下1)衆議院総務委員会
写真下2)佐賀連詩の会
2013年12月号掲載