第74回 「大隈侯と早稲田、立憲主義への思い」
立憲改進党を組織、初の政党内閣を創って日本の議会制民主主義の基礎を創った大隈重信侯の175回目の生誕を祝い大隈祭が開かれました。
当時の佐賀藩校弘道館は進んだ教育をしていましたが、修身治国平天下という朱子学の教えだけでは、ペリー来航等欧米列強の帝国主義的進出で揺れる日本国を救う方策を見つけることができないと考えた大隈侯は、枝吉神陽に国学と実学を学ぶとともにフルベッキについてキリスト教と西洋立憲思想、特に議会制民主主義について深く探求していきます。
そして学ぶことの力そのものを胸に刻んだ大隈侯は、自らも学校を創り、広く教育を奨めます。
『都の西北 早稲田の杜に』で始まる早稲田大学の校歌は3番までありますが、そのいずれにも理想と言う言葉が出てきます。「現世を忘れぬ久遠の理想」「やがても久遠の理想のかげは」「仰ぐは同じき理想の光」大隈侯が追い求めた理想とは何を意味していたのでしょうか?世界に広く学びの道を求め、ご自身も当時の日本人として計り知れないほど大きな影響を世界に与えた大隈侯。
真利は人の正銘なり。真苦・真楽、之が先駆となり、以て我を導き、我をして誤ることなからしむ。」「真利の趣旨を取って吾が党の主義とする。」と明治14年の日記に記されています。そして「幸福は人類の以て得んことを期する所也。然れども少数占有の幸福は我が党これを排す。」と大日本全般の幸福を目標としています。
早稲田大学の教旨制定にあたり「早稲田大学は模範国民の造就を本旨となすを以て、立憲帝国の忠良なる臣民として個性を尊重し、身家を発達し、国家社会を利済し、併せて広く世界に活動す可き人格を要請せん事を期す。」としています。利己利他の関係を重んじ、「東西の文明其物を調和し、遂に世界の平和を来すと云うのが吾人最後最大の理想である。」とした大隈侯の理想に一歩でも近づくことを私たちが目標とするならば、世界はもっと平和で慈愛に満ちたものになるのではないかと思います。
いざ声そろへて空もとどろにわれらが母校の名をば讃へん わせだ わせだ わせだ わせだ わせだ わせだ わせだ
今、国会では憲法96条の議論がなされています。憲法は、国民が権力を縛る最期の砦だとも言います。大隈侯の足跡を佐賀に、そして世界に追いながら、立憲主義の理想をもう一度学び返しています。
写真上1)大隈祭(2013 年5 月12 日)
写真上2)大隈侯(大隈祭にて)
写真上3)花みずき茶会(2013 年4 月21 日)
写真下1)佐賀地区街頭演説(2013 年5 月2 日)
写真下2)鳥栖・三養基地区街頭演説(2013 年5 月3 日)
2013年6月号掲載